人間は何をするのか?・・AI(人工知能)について考える―我々は仕事において何をなすべきか―Ⅲ
AIは思考を創造する訳ではない。
膨大なビッグデータから、指定の目的に適った最善の組み合わせのようなものを選んでくるだけである。
しかしそれが人知の及ばないような膨大かつ茫洋とした世界から見事に選びあげてくるとしたら、それはもう人間の想像を超えている。
この番組を見ていると、人間が処理業務として或いは作業として取り組んできた労働の世界は、本当にこの世から消え去るのかも知れないと思えてくる。
私は、それはそれでハッピーなことと思うのだが、そういった労働の世界が消え去った後、人間は何をするのか、ということである。
考えてみれば、私は自然にそういった方向性でものを考えていたのかも知れない、とも思う。
私はこの業界に入った初めの頃、入力作業をするのが極端に嫌だった。
父の部下としての立場だったので仕方がなかったのだが、数字をカチャカチャ打ち込んでいる自分に嫌気がさしていたのである。
ある時お客さんのところで、女性の社長さんに
「博士先生(私のこと)は、この仕事がホントに嫌いでしょう?」
と笑いながら言われたことがある。
「えっ、そ、そんなことは、別に・・・」
と慌てていると、
「背中がハッキリとそう語っていましたよ。」
と、やはり笑いながら言われたのである。
そのとき私は残高を合わせるための入力作業を行なっていた。
その私の背中を見て女性社長さんは、そう言ったのである。
間もなく私はこういった作業的な仕事からは卒業させてもらったが、私が止めるばかりでなく、この入力作業みたいな仕事そのものが無くなるべきではないだろうか、とその頃から思っていた。
つづく