地方衰退の原因と再生の処方箋を考えるⅡ
こう書いてくると
「おカネをもらってなぜ悪い。実際、補助金というお金で助かった事例もそこそこあるじゃないか!」
と反論されそうである。
確かに、それがきっかけとなって、設備投資など初めの滑り出しを後押ししてうまく回り始めた、といった事例がない訳ではない。
しかし、そんなものはごくわずかに過ぎず、きっかけとしてもほんのちょっとの後押しでしかなかった、というのが私の見てきた現実なのである。
おカネに関して、木下氏は次のように続けておられる。
―なぜ何兆円もの資金を、地方の活性化目的に配分しても活性化しないのか。
理由は、結構シンプルです。(中略)税金を使う=「利益を出せない」事業ばかりだからです。
地域活性化は、中央から地方への単なる「所得再配分」では達成できません。
(中略)
なぜならば、配ったその途端に、その事業に必要な各種経費として消えてしまい、それで終わりだからです。
「1サイクル」(1回転)しか、経済が回りません。(中略)
一度使ったらそれだけで終わりです。もう2度と同じような効果を生み出すことはできません。(中略)
公共施設の開発でも、大規模な建設事業は、大手ゼネコンが取得して、下請けくらいは地元企業へ分配されるでしょうが、やはり、地域内経済でみると、そのわずかなおカネが一回し(ひとまわし)されるだけで終わりです。―
このことは私も以前から感じていた。
何か事業を始めたときに発生する必要経費というのは、何も最初の一期目だけで終わるものではない。
事業が続く限り必要経費というのは発生し続けるのだ。
あまりに当たり前すぎて、普通に民間事業を経営しておられる経営者の方には「馬鹿にするな!」と、怒られてしまうくらい当然の事実である。
言うまでもなく、原価や経費といったコストは事業収益の中から賄われるものである。
事業が収益を生み続けない限りコストを賄うことはできない。
ところが、補助金で始めた事業には継続性がない。
木村氏が書かれているように
―「1サイクル」(1回転)しか、経済が回りません。一度使ったらそれだけで終わりです。―
といった性格のものなのだ。
つづく