東芝問題に見る日本経営者の本当の問題Ⅳ

大企業のトップが、自らの地位の保全や形式的なリスク回避にばかり終始していたらどうなるのか、その結果についても、宗氏は次のように述べておられる。

― 弁護士は法的リスクの有無と大小を教えてくれますが、経営を教えてはくれません。

リスクを嫌う日本的経営者が弁護士や専門家に回避対策を求めているうちに、経営リスクがどんどん次のリーダーに先送りされます。

このリスクのリレーがやがて限界に達して爆発してしまうのです。

それが原発事故の本質であり、東芝危機の本質であり、築地市場移転問題の本質でもあります。(中略)

 

明確な契約が存在せず年収が途上国よりも低いのが日本の経営者の特徴です。

無事に社長任期を終え、会長や名誉会長で長く居座ることで終身報酬を増やそうとする彼らも哀れです。

個別経営者の素質問題として東電や東芝への批判が多いのですが、(中略)彼らは決して特別に悪い人たちではありません。

彼らをいくら批判しても、なぜ世界的名門企業が次々凋落するか、なぜ世界的新興企業がなかなか誕生しないかという疑問は解けません。

 

東芝問題の裏に隠された日本企業のガラパゴス化こそ、本当の問題なのです。―

 

宗氏の言われる「リスクのリレーがやがて限界に達して爆発してしまう・・」という指摘は、まさにその通りであり恐ろしい。

このように考えれば、その時限爆弾を抱えた大きな企業はまだまだ他にもありそうな気がする。

 

企業破綻という爆弾があちこちで爆発する前に日本企業は、いや日本の企業社会全体は軌道修正できるのだろうか。

日本の経済界、というより日本全体の問題であろう。

これは、政治家や官僚にも突きつけられた大きな課題である。

 

 

つづく