OA化について改めて考える―石器時代のビジネスモデル?―Ⅲ

彼が前の事務所で行なっていたのは、お客さんの経理資料をお預かりして事務所でコンピュータに入力、試算表を作成して(打ち出して)差し上げる。

いわゆる記帳代行業務である。

 

私の事務所を含めて、長い間このやり方で会計事務所はその存在感を示してきた。

といっても、このやり方を変え始めてもうずいぶん経つ。

 

昔はこれをすべて手書きでやっていたのである。

その頃の会計事務所は、もっと存在感があったに違いないと思う。

 

何故なら算盤(そろばん)と鉛筆だけで、貸借対照表や損益計算書といったややこしそうな試算表(いわゆる会計データ)が出来上がっていく訳だから、それは傍目には優れた職人技のように見えたのではないだろうか。

 

そこへ、会計事務所へのパソコン(オフコン(オフィスコンピュータ)という言い方もしていた)導入という時代がきた。

これは業界にとって、画期的な出来事であった。

 

この、会計事務所へのコンピュータ導入は当初革命的だっただろうと思う。

その頃はたぶん、べらぼうな価格だったはずである。

 

とはいえ、数字処理との相性が極めて優れているコンピュータは、我々にとって、なくてはならない存在となった。

まあ、当たり前といえば当たり前の流れだが・・・

 

ただそれでも、我々小規模の会計業界のOA化は、半分進んだだけ、といっていいだろう。

というのは、ここまでだとOA化が済んだのは「こちら側」だけだからである。

 

 

つづく