「のれん」と「ブランド」について考える―「あるもの」と「なるもの」の違い―Ⅲ

例えば、私の事務所は父の代から55年ほど続いている事務所である。

「のれん」ということでは、現在あるクライアント数(250件ほど)、地元での信用、専門性を持った職員たち、これまで積み上げてきたノウハウ、所内で構築されている会計システム等、様々にあるだろう。

 

上記、列挙したものを「のれん」と呼ぶのであれば、55年前父が開業して以来こつこつと積み重ねてきたものが、自然とその「のれん」を形成してきたのだと考えることができる。

途中で私に引き継いで、紆余曲折あったもののこれだけのものを積み重ねてきたのだ。

 

しかしながら、私の事務所が「ブランド」と言えるかといえば、これは心もとない。

例えば、地元の人たちに

「あの事務所に是非頼みたい。」

とか

「いつかあの事務所で働きたい。採用されたい。」

と、思われているほどの存在かどうかについては全く自信がない、と言っていいだろう。

 

まあ、それなりに努力は積み重ねてきたので、そういったもの(ブランド力)が全くない、ということでもないのかも知れないが、自分自身では判断がつかないのだ。(どうも曖昧ですみません。)

 

もし私が、自分の事務所をブランド化したいのだとすれば、単に事務所の経営を維持し継続するだけでなく、そういった明確な意図をもって動かなくてはならない。

 

 

つづく