真面目の功罪―柔軟性への挑戦―Ⅲ
この社長の話は、色々な意味で示唆に富んでいる。
まず技術的な問題は、もともと日本の得意分野なのだから、最初からそのハードルについて了解していればよかったのに、と思う。
贅沢度や遊び心の現れである「蛇口からワイン」についても、技術的にはできない問題ではない。
こういうこれまでになかった装置については、最初からもっと綿密に打ち合わせていればよかったのでは?とは思う。(というより、今では豪華客船においては普通の設備なのだろうか?)
ファッションセンスの問題は難しい。
先述したように、おそらく、三菱重工業内部のスタッフでは対応ができなかったのではないかと推察される。
感性の優れた外部スタッフの導入が必要だったのではないだろうか。
私も最初は、自分の事務所の会社案内や商品パンフレットなど自前で作った。
ただ、私の場合「こんな程度で十分さ。」と思っていたわけではない。
予算がなかったからそうしただけのことである。
やがて、プロのグラフィックデザイナーに頼んだ時は、まるでレベルの違うものが出来上がってきた。
それは予想通りというか、予想を超えていた、といってもいい。
こんな風に自らの専門外のことは、外部のプロの力を借りるということも大切である。
つづく