地方における産業構造を根本から考え直してみるⅦ
さて、こうやって見てくると地方の抱える産業構造的な課題が浮き上がってくる。
ここまで書いてきたように、農業も畜産業も林業も「売る努力」をする必要がない、というところに大きな問題が存在するのである。
流通との接点がないから、生産してから先のことがさっぱりわからないのだ。
また、接触の仕方等についても何の訓練もなされていない。
つまり、仕事をする上で「営業」という感覚がまったく養われていないのである。
したがって、営業活動に必要な「販売促進」などという感覚は当然全く持つことがないし、おそらく考えたこともないだろう。
ここに構造的に大きな問題がある、と私は思っている。
ビジネスというは、営業努力をして、販売まで行ない、代金を回収して初めて完結したといえる。
それをすべて自分の力で行なったならば、健全な意味での自己完結型のビジネスといえるだろう。
ところがこのプロセスに半ば強制的に「他者の力学」が働いたならば、健全なビジネスとは言えなくなるのではないか。
日本の農畜産業というのは、ある意味その健全とは言えない歴史の積み重ねだったのではないか、と思うのである。
ここでいう「他者の力学」というのは、無知につけこんだ収奪、或いは余計なお世話的援助などを指すが、詳述は別の機会に譲ろう。
つづく