専門性とマーケティングⅤ
そのどちらかといえば厄介な「税金」を専門にしているのが税理士という職業である。
ということは、特に必要性がなければ積極的に接点を持ちたいとは思わない、というのが一般人の税理士に抱くイメージではないだろうか。
それに対してこちら側(税理士側)はどうかといえば、自分たちが決して「税金の人」だけでないことはよくわかっている。
いわゆる「税金のこと」だけで、税理士の実務が完結するわけではないことは自明の理である。
ただ、その「幅の広さ」について、一般的にはほとんど伝わっていない。
だから私は、税理士を始めた当初
「我々の仕事におけるこの「幅の広さ」については、もっとちゃんと伝えていかなければ、今後顧客の獲得は難しくなるぞ。」
と考えたのだ。
この日のセミナーではそのことを十分伝えたと思っていた。
税理士として提供している専門領域がいかに幅広いか、時代に応じて変化させてきたか、それを伝えるためにいかに工夫しているか、といったことを結構丁寧にしゃべったつもりだったのだ。
しかしながら、それでも冒頭に書いたように、私に話しかけてきた受講者は、その日私の話を散々聞いたにもかかわらず、税理士の職業としてのイメージとマーケティングとの関係には、違和感を覚えていたようなのである。
つづく