相談するという愚 ―したり顔の否定論者―Ⅴ
若手がこういう新しい試みにチャレンジするときは、同志を募って自分たちの意思でとっととやるしかないのだ。
作っていいものかどうかなどと、年長者にお伺いを立てることなんか何の意味もない。
強いて言えば
「作ることにして大体の形は出来上がりましたが、何か細かい点で注意することはありませんか?」
程度だったら多少意味はあるかも知れない。
それでも相手は選ぶべきで、建設的な助言をしてくれそうな先輩(いれば、の話だが)に聞くべきだろう。
とにかく作ってしまった後だったら、おそらくそれを「つぶせ!」といった過激なことまでは先輩連中も言わないだろう。
その点でもまた彼らは保守的なのだ。
相談にはしばしば「したり顔の否定論者」というのがつきものである。
彼らは決して最初から肯定はしない。
まず否定してみせることで、一段優位に立てると信じているからである。
「まだまだ甘いな。」「物事がよくわかってない。」「責任が取れるのか。」・・あらゆる「したり顔」の理屈を駆使して否定にかかる。
よく聞いていると、なんだか筋違いの助言のようでもあるが、そんなことは彼らにはお構いなしである。
たぶん彼らには、その新しい試みの本質が良いも悪いもよくわかっていないはずである。
もともとそんな判断がつくタイプではないのだ。
つづく