30年早い!―ゴールデン街異聞2―Ⅳ(おしまい)

さて、先述の私のセリフは、もちろん私のお腹の中でそう言っただけである。

実際にはしばらくして彼らの会話に加わった時にもっと穏やかに、しかし、私としてはかなり毅然とその点(常連面(ヅラ)は10年早い!ホントは30年と言いたいところだが・・・)を伝えた。

 

男は恐縮したのか、一緒にいた女性と早々に帰ってしまった。

ちょっと悪いことをしたかな。

 

入れ替わるように、ママさんとそれこそ私の30年来の知り合いである先輩常連客の女性がやって来た。

先ほどの話を伝えると、二人とも

「へー、あんたがそんなこと言ったの!?」

と、笑っていた。

 

この大先輩であるお二人には、たとえ酔っぱらっていても、私は今でも敬語で話をする。

そんなことは我々の間では至極当たり前のルールなのだ。

 

男は(今では女も・・か?)酒場でいろんなことを教わる。

酒場で男は磨かれるのである。

 

しかし、その態度は常に謙虚でなければならない。

エラそーにしちゃあおしまいなのである。

 

生まれて初めて酒場で説教めいたことをやっちゃったので書いてみた。

 

 

おしまい