恋をしましょう・・・?(ゴールデン街異聞)Ⅲ

これまでも、自己主張のおっそろしく強い人、やたら喧嘩っ早い人、ものすごくネガティブな人、いろいろいたけれど、それも一応前提として、他の客とのコミュニケーションを計った上でのことだった。

こんなのべつ幕なしにべらべらとどうでもいい気持わりーい話を勝手にしゃべり続ける奴は初めてだ。

 

途中、近所のもの静かなオカマさん(なんせゴールデン街なので・・)も客としてやってきたが、あきれ果てたのか、1杯飲んだら早々に退散した。

なんか話したいことがあった風に見えたので、ちょっとお気の毒な感じもした。

 

店内はその男に対して、明らかに最悪の空気感なのに、一向に動じる気配すらない。

私もそろそろ帰ろうかなと思ったが、こいつとママさんを二人にしていなくなるのはどうも忍びない。

 

そうこうしてたら、たまたま白人の外国人観光客が4人入ってきた。

日本で一番行ってみたい観光スポットゴールデン街探索というわけである。

 

すると英語がややしゃべれるらしいその男は、喜々としてその外国人たちに話しかけ始めた。

一瞬、ワーッと盛り上がったものの、1杯だけ飲むとその外国人観光客たちはサッと引き上げてしまった。

 

また3人残る。

いよいよ

「こいつ、早く帰らないかな。」

と思っていたら、ようやく腰を上げた。

 

そのときである。

この夜の事件ちゅうの事件は起こった。

 

 

つづく