モハメド・アリの心情Ⅰ

 

先日、テレビで1976年6月26日行なわれたアントニオ猪木モハメド・アリの「格闘技世界一決定戦」の再現放送を見た。

試合の調印に至る経過、その後の両者の駆け引き、お互いの陣営の舞台裏や二人の心情、等等、様々な角度から取り上げていた。

 

その中で私が「あっ!」と思ったのは、モハメド・アリが、試合前

「え、エキシビションマッチじゃないのかよ!」

と驚いている場面だった。

当初、アリは軽いショーのようなイベントと捉えていたらしい。

 

ところが、猪木側がこの試合に半端じゃなく本気でかかっている、と知ってかなり戸惑ったのではないか、と思ったのだ。

「本気で戦え・・・と言われても・・」

と、アリは思ったのかも知れない。

 

ボクシングヘビー級の世界王者というのは、昔も今も格闘技界の頂点だろうと思う。

ほかのいろいろな格闘技があったとしても、ボクシングの世界チャンピオンは別格、と彼らは思っているのではないか。

 

特にヘビー級はさらにその頂点である。

背負っている歴史への責任や強烈なプライド持っていても不思議な話ではない。

 

今ほど、いろいろな格闘技が百花繚乱だったわけでもない当時、ほかの世界からのボクシングチャンピオンへの挑戦を、一種のショーくらいに受け止めても仕方なかったのではないか。

 

 

つづく