税理士の仕事ってⅢ

世間における「あそこの税理士は節税がうまいらしい。」という評判は、かつて結構効き目があったのである。

実際は、ちゃんと経理をしていれば納税額にそれほどの違いがあるはずもないのだが。

 

にもかかわらず、税理士=節税、という神話はかなり長く続いたのである。

しかし、このニーズは「なかなか利益が出ない世界」では低くならざるを得ない。

 

「税の専門性」「売上を上げ利益を確保する専門性」とは明らかに異なるからである。

後者の専門性が強く求められる環境においては、「お困りごと」のタイプが変化してしまったのである。

 

「お困りごと」のハードルが下がった2つ目は、「税」以外の得意分野であった「記帳代行」のニーズが低くなりつつある、ということである。

 

普通、事業を営んでいれば帳簿をつける。

「売り」がたったり「支払い」を済ませた時点で、帳簿をつけなければ訳がわからなくなるからである。

 

それらの帳簿は、現金出納帳や手形帳、また売上台帳であったり仕入台帳であったりするわけで、事業規模の大小、業種などで様々である。

 

ところが、これらの帳簿を机の上に並べて百年眺めていても、事業全体の業績がわかるわけではない

これら、個別それぞれの帳簿から事業全体の業績を示す財務諸表を作り上げるには、専門的なアレンジ(主に「転記」という作業であるが)が必要だったのである。

 

 

つづく