専門領域と一般領域の境界Ⅱ
これとは全く正反対に、専門性に何の関係もない話というのもある。
例えば、業界紙などに寄せられるコラムや随筆の類(たぐい)である。
大抵はペットの話、孫との触れ合い、山登りや旅行の思い出、そのほか趣味嗜好の話が多い。
こういった話は、書き手が別に税理士である必然性は何もない。
ごく一般的な話題として提供される。
ただ正直言って面白いものはほとんどない、と言っていい。
他人(ひと)の旅行記など、よほどユニークな視点を持った人か、仰天のエピソードでもない限り第3者からは退屈な代物である。
孫やペットの話はなおさらだ。
そこで私は、改めて考えてみた。
我々専門家は、世の中にいったいどんな話を提供したらいいのだろうかと。(別に提供しなくていいよ、と言われればそれまでだが・・・・)
そういう訳で、私なりに考えた一つの結論がある。
それは
「専門的な視点を通じて見た、世の中の様々な現象に対するコメント」
という世界があるのではないか、ということである。
自分の専門領域を少し広めにとって、世の中で起こっている様々な現象と重ね合わせてみる。
領域を広めにとるといっても、自分の中心ポジションを変える訳ではないので、定点観測に近いと言ってもいいだろう。
つづく