左翼?右翼?Ⅰ

 

左翼、右翼という言葉がよくわからなくなってきている。

ひとつは、昔に比べてイデオロギーというものの存在価値が希薄になってきているからだとも思うが、とにかくかつてのような色わけの仕方では明確な判断がつかない。

 

昭和27年、1952年生まれの私が育った時代、学生を含む若い人たちはなんとなく左翼っぽくなければ少し居心地が悪かった。

私自身も、そんな時代の雰囲気をそれほど不思議とも思わず受け入れて生きていた。(つまり、なんとなく左側にはいたことになる。)

 

そういえば大学生だった頃のある日、友人から

「俺の親は、毎年皇居の中を清掃する奉仕活動に参加しているんだ。」

と聞いたとき、何とも言えない違和感を覚えたのを思い出す。

友人の発言には

「俺の親は古い人間だから・・・」

というニュアンスを感じたし、私も

「戦後の日本にもそんな活動する人たちがいるんだ・・・」

と少し奇異に思ったのである。

 

当時は、特に右翼思想の持ち主ということでなくとも、皇室に好意的な発言をしたり、憲法に批判的な意見を述べたり、自衛隊を支持したりしただけで

「お前、右翼なんじゃないの?」

と言われかねない雰囲気があった。

若者の中でも大学生などは、基本左寄りのポジションを取っていた方が、クラスメートの付き合いなどでも収まりがよかったのである。

 

 

つづく