巨人石津謙介のことⅣ

こうやって見てくると、石津謙介の残した影響力は広範に及んでいることがよくわかる。

しかもその各方面の関係者が、石津に感化されたことや触発されたことを誰も否定しないところに彼の特徴がある。

それどころか、彼と関係があったことを、勲章のように思っている各方面の業界関係者は多いのではないだろうか。

 

つまり、直接彼の薫陶を受けた人間はもちろんのこと、間接的にしか彼を知らなくてもその業績に少しでも関わった人間には基本的に「慕われていた」という点に彼の際立った特徴があるのだ。

 

逆に、彼をそれほど知らない人間にとっては、経済界や産業界の王道を歩いた訳ではない点が、どうしても評価が低くなるのである。

彼の影響力の裾野の広さを思えば不当な「低さ」のようにも見えるのだが・・

 

そう考えると、石津謙介という人は、日本よりも文化芸術を重んじる欧米に生まれた方が評価が高かったのかも知れない、と思うのだ。

とはいえ本人は、

「長い人生の中でちゃんと物を教わったのは、謡と狂言だけかもしれない。」

と言っていたらしいので、根っこのところでは、極めて日本文化を愛していたに違いない。

 

いずれにしても、石津謙介の影響を強く受けたかつてのIVY少年としては、彼の評価がもう少し真っ当なものとなることを願うものである。

 

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おしまい