イスタンブール一人ぼっち、おまけ―危機的状況プラスその他いろいろ詳細―(前編)
そもそも英語がわからん!!
先日、初めての一人海外旅行(一応パックツアーではありましたが)の際、乗り換え空港のイスタンブールで私だけ乗り遅れて、馬鹿でっかい空港にたった一人取り残されたときのことを書いた。基本それだけでも、どえらい危機的状況なのだが、そのとき他にもいろいろと危ない場面があったのである。
トルコからポルトガルへの便は他にもあるわけだから、海外旅行に慣れた人であれば、自分でとっとと手続きをして乗り換えてしまえば済む話ではあった。例え旅慣れていなくても、言葉(ほぼ英語でOK)ができれば、まあ何とかなるはずである。
しかし、情けないことに私の場合、それまで参加した海外旅行といえば、それこそ旅慣れた長女や次女たちが一緒の家族旅行であり、業界主催の添乗員がピッタリ張り付いた全面お任せ旅行くらいでしかなかった。こんな風に、見知らぬ土地で完全に一人にされた経験などあるはずもない。
そんな中、私は英語には全く自信がなかったのである。しゃべるのもそうだが、ヒアリングがまるでできない。ごく簡単な英語でも、なんだか全然聞き取れなくて四苦八苦したのだった。
スマホの充電量が怪しくなってきた
とまあそんなわけで、どうすりゃいいんだ!!状態に置かれた私の唯一の救いの道は、東京にいる旅行代理店の女性担当者と電話が繋がっていることだった。こちらに一緒に来ている添乗員さん(やはり女性である)の電話番号もわかっていたのだが、彼女はそのとき飛行機内で空の上である。仮にポルトガルに着いたとしても、トルコとの国際電話が繋がるのかどうか怪しいものだ。幸いにも東京の代理店との電話は繋がっていたので助かったのだ。
ただ、その東京とやり取りしているうちに、チケットを取るのがそう簡単ではないことがわかってきた。現地の人間を含めて、3者で細かいやり取りを続ける必要がありそうだった。
ところがここで、さらに重大な事実が判明してきたのだった。そのやり取りに際して、頼みの綱であるスマホの充電量が怪しくなってきたのである。いろいろ話しているうちに残量が40%を切ってきた。
ウへぇ~、ここで電源が切れてしまったら、私は完全にアウトである。まだまだ、やり取りを続ける必要がありそうなのに、そのうち残り30%も怪しくなってきた。
危機状況への感が働いたのか
海外へ行かれた方ならご存じと思うのだが、ヨーロッパの場合は、電気の変換装置みたいなものをくっつけなければ充電することはできない。その変換器を普通日本で使うことはないので、私は海外旅行用の大きなトランクのポケットに放り込んだままにしていた。で、そのトランクは、羽田で預けてしまったために今手元にはないのある。
『こりゃあ、相当ヤバいぞ。充電切れたらお手上げだ。』と、心細い上にさらに胸が締め付けられる思いに捕らわれる。
しかし、そこでふと思い出した。
『そういえば、あの変換機と充電器は出発直前にリュックの方に移し替えたんじゃなかったっけ?』そう思って、ごそごそと手持ちのリュックのポケットを探ったら、あったあった、あったのだ。
くだんの変換機付き充電器が出てきたのである。こういう事態を予感していたのかも知れない。
そこでホッとして広い待合スペースの壁を探してみたら、コンセントがあったので何とか充電することができたのだった。ふと気がつくと、私が乗り遅れてしまったFゲートにはもう誰もいない。広い待合スペースの片隅で、東京からの電話を待ちながら、トホホの面持ちで充電している情けない日本人のオッサンが私だったのである。
無事なんとかポルトガルへ
こうやって、何とか電源をつなぎながら通信手段を確保して、ポルトガルへのルートをやっと手にすることができたのですが、ここでちょっとした選択肢を迫られた。
というのは、当たり前に出発したツアーの面々は、まず首都のリスボンへ到着して、そこからチャーターしたバスで観光をしながら、ポルトガル第2の都市であるポルトへ向かうことになっていた。リスボンとポルトは、日本で言えばちょうど東京と大阪みたいな関係で、距離もそこそこ離れている。
東京の女性担当者に
「海江田さん、リスボンへ行かれますか。それとも直接ポルトへ向かわれますか?」
と聞かれた。私にはとっさに判断がつかない。
「え、ど、どっちがいいですか?」
逆に私の方から聞き返した。
「リスボンですと、そこからポルトまで移動しなければなりません。直接ポルトであれば空港からホテルまでの移動だけで済みます。」
との答えだった。
まあ、言ってみれば東京から大阪まで移動するようなものです。となると、また向こうで鉄道だかバスだか、なにかしら交通手段を手配する必要がある。
私は
「ポ、ポルトに行きます。直接、ポルトにしてください。」
と頼んだ。すると3時間後くらいにポルト行きの便が1便あった。
ただ、そうなると逆にツアーの皆さんより私の方が先にホテルに着くことになりそうである。チェックインできればいいのだが、できなければしばらく待ちぼうけになる。東京の担当者が
「先にチェックインできるよう、ホテルに手配しておきましょうか?」
と言ってくれたので、
「お願いします。助かります。」
と頼みこんだのだった。
そうしてポルト行きチケットをなんとかゲットしてもらい、無事飛行機に乗り込んだときは少しホッとしたのだった。
つづく