やっぱり、生(なま)はええなあ―久しぶりに魂が震えた―
やっぱり生(なま)に限るぜ
と言っても、生(なま)ビール、の話ではありません。
久しぶりに生演奏のコンサートを聴きに行ったら、自分が思っていた以上に心が震えたということです。
先月のこと、毎月配布される市報にコンサートのチラシが入っていました。
ジャンルはクラシック。演奏するのは「鹿児島交響楽団」ということです。失礼ながら鹿児島に交響楽団があるとは知りませんでした。とにかくその交響楽団が我が田舎の町にやってきて演奏するというのです。
演目はクラシックにほかに、ミュージカルやオペラの曲目をメドレーで聴かせるというプログラムで構成されていました。
・ワーグナー
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
第1幕への前奏曲
・ミュージカル映画
「サウンド・オブ・ミュージック」セレクション
・ミュージカル映画
「オペラ座の怪人」セレクション
・ベートーヴェン
交響曲第7番 イ長調 作品92
という構成で、全く知らない、という曲はなさそうです。

市報に入っていたチラシ
なんと入場無料でした。
意外にも大勢の聴衆が・・
13時半開場、14時演奏開始ということで、私は13時40分くらいに行ったのですが、会場である市文化会館の駐車場はもう結構いっぱいになっていました。正直言って、田舎で交響楽団のクラシックなんて、そんなに人が来るのかな、と思っていたのですが、意外にも大勢の聴衆が集まっていたのです。
『こりゃあ席の方も満杯かも知れないな。もっと早く来ればよかった。』
と心配しながら席を探したら、最前列のあたりはまだ結構空いていました。みなさん、あんまり前の方には行かないみたいです。
私は前から3列目の空席を見つけ、ほぼ真ん中の特等席みたいなポジションに座ることができました。『ちょっと、近すぎるかなあ。』と思ったのですが、『迫力を感じることができるだろう。』と、そこに陣取り、開演を待ちます。
圧倒的に多い女性の楽団員
すると、2時になって客席の照明が落ち、ステージの方を明るく照らします。そうして、まずは演奏者である楽団員が入ってきました。客席は拍手で迎えます。
私がちょっと驚いたのは、交響楽団の場合、男性は黒のタキシード、女性もフォーマルな装いと相場が決まっている、と思っていたのが、私服なのか皆さん思い思いの比較的カジュアルな恰好です。
それから、圧倒的に女性の楽団員が多いということに気がつきました。男性は全体の2割もいたでしょうか。
続いて、やはり女性の第一バイオリン奏者が入ってきました。地元では有名な方かも知れませんが、私は知りませんでした。
そして、一呼吸おいて指揮者の男性が入ってきました。やはり、万雷の拍手で迎えます。
指揮者は一礼するもののここまではずっと無言。それからゆっくり向き直って、最初の曲の指揮棒を振り始めました。
魂が思わず震えた
ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲です。この最初の音が耳に飛び込んできたとき、私の魂が思わず震えました。
久しぶりに聞くフルオーケストラの迫力ある演奏です。しかも、曲目はあのワーグナー。
有名な出だしのメロディーにガァーンと頭を打たれたような気分になり、自然に身体が曲に合わせて動きます。
クラシックとはいえ、自分の全身が曲想に乗ってくるのがわかりました。
続くサウンド・オブ・ミュージックメドレーもオペラ座の怪人メドレーも聴きごたえのある演奏で大いに楽しめたのでした。私は、鹿児島交響楽団を完全に舐めていました。いやあ、立派なオーケストラです。地方にこんな交響楽団があるというのは幸せなことです。
指揮者の男性もよくタクトが振れているように思えました。彼の背中のすぐ後ろに座っている私は、彼と同じように心の中で指揮棒を振ります。思わず、本当に手が動きそうになるのを押さえるのに苦労しました。
こうして前半の演目が終わりました。

会場は撮影禁止だったので休憩時間中にからのステージをパチリ
第7番も実にいいなあ
20分の休憩を挟んで、さあ最後はベートーヴェンです。
演奏に入る前に、楽団員が入 場するのですが、皆さん今度はクラシックの交響楽団員らしい、フォーマルなウェアに着替えていました。前半は、映画音楽などカジュアルな雰囲気の曲目だったのでそれに合わせて見た目気楽な恰好、という演出だったのでしょう。
ここで、今日の指揮者の紹介、彼の簡単な挨拶などがあり、いよいよ最後の演奏曲、ベートーヴェンの交響曲第7番に入ります。
ところで、ベートーヴェンは生涯九つの交響曲を作曲したということで、中でも
第3番 「英雄」
第5番 「運命」
第6番 「田園」
第9番 「歓喜の歌」合唱付き
の4つは有名ではないでしょうか。
今回演奏される「第7番」はこれらに次ぐ知られた曲で、私の好きな交響曲の一つでもあります。4楽章編成で、交響曲ですからある程度長いのですが、どの楽章も聞き覚えがあり、最後まで楽しんで聞くことができました。
最後の演奏が終わっても拍手が鳴りやまず、当然アンコール。残念ながらアンコール曲は、私の知らない曲でしたが、やはり迫力のある演奏で最後の最後まで楽しめました。
昨年から始まった定期公演らしいのですが、また来年もタイミングがあったら是非聴きに行きたい、と思いました。