文豪を気取ってみたい、憧れのスタイルー万年筆との共存生活(その1)―(後編)

万年筆が好きだったんだ

日常生活の中で、万年筆を使う場面が定着してきた私。昔、愛用していた何本かを取り出して手入れしたあと再び現場に投入、というか、実際毎日使っているのである。

それにしても、こうやって振り返ってみると、しばらく使わなくなっていたとはいえ、インクボトルやカートリッジなど、まだ手もとに残っていたことに気づく。

「やはり、万年筆という道具が好きだったんだな、俺は。」

と、改めて思い返す。

そうやって毎朝手書きの文章を書き始めて、もう3年くらい経つ。この間に、新しい万年筆が数本増えた。せっかく手書きするんだから、いろいろなメーカーの万年筆を試してみたくなったのである。

 

モンブランとペリカン、定番の2社

文章を書くことが習慣づく前から持っていたのは、モンブランのマイスターシュテュック№146だった。

これは大学入学時に、確か叔父から贈られたものである。こいつが所有している中で、最も古参の一本かも知れない。

それからモンブランにはボエムという携帯用のものがあった。コンパクトなボディだが、クルクルと本体を回すと、ペン先がスゥーッと登場する優雅な一本で、書き味も滑らかである。

あとペリカンのスーベレーン600という製品は、グリーンストライプのボディで、このメーカーを代表する一本だ。以前、いつも通っていた蔦屋の文房具売り場が改装の際に、セールになっていたものを購入したのである。

モンブランとペリカン、いずれもドイツ製であり、それぞれブランドを代表する定番の製品である。ただ、ボエムはもう作っていないようなので、そのうち希少価値が上がるかも知れない。

モンブランの146、万年筆の原型みたいなデザインですね。

 モンブランのボエム。コンパクトで書き味も素晴らしい。

 

ペリカンのスーベレーン600。このグリーンボディが代表的な色ですね。

 

国産の2本、さらに外国製も

当初手もとには、国産の万年筆はなかったのだが、2年前の誕生日に家族からセーラーのベーシックな一本を贈ってもらった。キャップに私の名前が金文字で書かれた記念の一本である。

プラチナの製品も持っていなかったので、銀座の伊東屋へ行き、美しいグリーンボディの奴を購入した。こいつは当初ペン先が引っかかって書きにくかったのだが、相談に行ったら、伊東屋ではペン先を交換してくれた。そのあとも伊東屋のサービスには感心することがあったので、そのことにはまた後程触れたいと思う。

その他、外国製で有名なのはやはりパーカーだな、と思い、全体に繊細な細工の施してある一本を購入した。美しい製品なので、見た目気に入っているのだが、私の手にはボディが細過ぎたようである。書いていると、握りの部分が少し頼りない感じがするのだ。

ちょっと高級なブランドとして、フランスのウォーターマンという筆記具メーカーがあるのは知っていたのだが、価格面でさすがに手が出せずにいた。しかしこれについては昨年、母からの誕生日プレゼントということでスタイリッシュな一本を手に入れることができたのである。

セーラーの基本的な一本。ネーム入りです。

 

プラチナの一本。濃いグリーンボディなのですが、写真じゃよくわからないですね。

 

パーカーの細工が施された美しい一本。ただ私には握りが細すぎます。

 

ウォーターマンの銀とブルーの一本。さすがフランスメイド、美しいデザインです。

 

楽しいな、万年筆ローテーション

そんなこんなで、万年筆を使うライフスタイルになって、たちまち何本も増えてしまった。各メーカーの製品を買うと同時に、インクボトルやカートリッジも購入するので、私のデスク周りは、これらの万年筆関係の文房具が、かなりのスペースを占めるようになったのである。

現在、これら10本近くを、毎朝ローテーションで使っている。それぞれ、書き味、線の太さ、滑らかさ、握りの感じなど異なっていて面白い。

一つ発見したのは、先述のパーカーのようにボディが細いものは握った感じがなんだか頼りなくて苦手だな、ということである。携帯用にはいいかも知れないが、普段、家のデスクでじっくりと書くのであれば、ある程度太さのあるものの方が書きやすい。

ただ、万年筆を趣味的に収集する気は全くない。

私の場合、気に入った一本を使い続けるというよりは、毎日異なるものをローテーションしている方がなんか楽しいのだ。

どれもそれなりに個性があって気に入っている。

こんなことをしていたら、その後もこの万年筆にまつわるエピソードがいろいろ出てきたのである。そんな話もこのブログでおいおい皆さんに伝えていきたいと思っている。

本棚の前にズラリと並んだ各メーカーのインクボトル。6社分にもなりました。

どうも、後ろの本が気になりますね。

おしまい