簡単だけど難しい―分かりきった事ができないもどかしさ―(後編)
業績アップにつながった
ルールの整備だけでなく、全体的な雰囲気、風通しなどを重視して、いい職場環境を作る。そんな、或る意味、最低限の打ち手とも思える試みを実践してみて、さてどうなったか?
結果的にはそのことが、業績の維持というレベルに留まることなく、さらに上昇させていくことにもつながったのである。
職場環境が良かったから業績アップにつながったのか、業績がアップしたから職場環境が良くなったのか。
これって、まさに鶏と卵論争みたいな話になるのだが、とにかく、いろいろな意味で職場環境の基盤整備が、企業が成長発展するための必須条件であるらしい、という結論に達したのだ。
そういう視点で地元企業を改めてウォッチングしてみると、そういった基本ができていない企業が多いような気がするのである。
ここを何とかしなければ、そもそも成長のスタートラインにすら立てないのではないか、と思うのだ。
具体的にまずできること二つ
さて、ここからは具体的な提言である。まずはこんなことからしっかり始めてみてはどうだろうか。
・挨拶をちゃんとする。
当たり前すぎるくらい当たり前の話だが、これができていない企業は意外に多い。私や事務所の担当者が訪問しても、そこで机に向かっている従業員さんが顔も上げない会社というのはよく見かける。挨拶がちゃんとできていない会社に何をアドバイスしても無駄なような気がするのは私だけではあるまい。
・現場をきれいにする。
オフィスであれ、作業現場であれ、散らかっている或いは汚れたままになっている会社で業績の良いところなどお目にかかったことがない。それだけでも、即その会社の良し悪しを判断するバロメーターになるくらいだ。なので、散らかっているのであれば、一日仕事を止めてでも徹底的に職場を片付けることをお勧めする。おそらく、そうしないことには何も変わらないだろう。
上の二つは、社長命令ですぐにでも実行できることである。それが定着するかどうかは、その後の少し長期的な努力が必要になるが、とにかく、手をつけないことには始まらない。とりあえず、この二つなのだ。
少し応用編と言えば
しかし、上の二つだけで業績アップというわけには当然いかない。もう少し踏み込んだ、とはいえ、「当たり前の試み」というのはいくつか提示できる。
・とっととHP(ホームページ)は作ろうよ
ということである。未だにこのHPを持っていない、考えてもいない、という企業は意外に多い。お話にならないレベルだと思うのだが、確かなことなのである。HP運用のノウハウについては、いろいろとハードルはあるけれど、とにかく持たないことには始まらないのだ。
・HPを作ったら継続的な情報発信
もちろんHPを作っただけでは、その効果を期待できるものではない。作ること自体が目的ではないのはいうまでもないことである。HPというのは、あくまでも「場」であり、手段なのだ。
情報発信基地としてのHP。ここを利用して動かし始めないことには、当社の情報は外に向かって何も伝わらないのだ、ということを認識してもらいたいのである。
社長が決めればいいだけの話
ここまで書いた四つの項目
・挨拶をちゃんとする。
・現場をきれいにする。
・とっととHP(ホームページ)くらいは作ろうよ。
・HPを作ったら継続的な情報発信をやろう。
これなどは「今さら何言ってんの!?」といったくらいの項目である。「馬鹿なこと言ってんじゃないよ。」と言われても仕方のないくらい当たり前の話なのだ。が、しかし、まずこの当たり前ができていない企業が多いのである。
「じゃあ、これをやったら業績は伸びるんだな?」と言われても、確約なんてできるものではない。これはあくまでもベースに過ぎないからだ。ここまで整備して、ようやくスタート地点に立てるかどうかである。
上記の四つくらいはすぐにでも自分でできそうな話である。社長がそう決めて実行すれば、特に相手のある話でもない。巻き込むとすれば身内である社員だけである。しかし、こう書いたものの、これだけでも実行するのはなかなか難しいだろうと思っている。
やるべきことをやり尽くしていない
初めの二つは、今日からでもできそうな話である。自分たちでそう決めて取り組めばいいだけのことだからだ。あとの二つは難しそうにも見えるが、誰かに頼めばできない話ではない。ただ、これくらいは準備しなければ、会社を良くするも何も全く始まらないのだ。
実は、多くの業績不振企業と接触していて、
「やるべきことはすべてやり尽くした。にもかかわらず、業績は一向に回復しない。もう何をやっても無駄だと思う。」
という企業にお目にかかったことがない。
こんなことを言うと、
「そんなことはないだろう。いろいろやっても業績の上がらない企業だらけなんじゃないの!?」
と思われるかも知れない。しかし、私の意見は、また違うところにあるのだ。
まずは基本を作ろうよ
長い間、地方の地元企業を見ていて、ああそうか!と気がついたのは、意外にやるべきことをやっていない、或いはなんだかおかしな方向のことばかりやっている、といった事実だったのである。
そういう企業に限って、上記の4つの項目ができていないのだ。
まあ、それで済んでいた、という地方の事情があったのかも知れないが、それはもう通用しない世の中になってきた。
私は「上場企業並みの職場環境」ということを想定したのだが、別にそこは自由でいいから、とにかく今の職場環境レベルから脱却すべきだろう。
何度も言うようだが、上記の4つをやれば必ず好転するという話ではない。
まずは、基本ができていなければ何も始まらないということなのだ。
ただ、こういった基本ができてしまえば、あとの成長は案外早いかも知れない。
多くの難しい課題に向き合う前に、上記4項目に手をつけてみてはどうだろう、というのが私の提案である。
みんなで飯食ったりとか、ね。
おしまい