男と女は常にカオス―「女房妬くほど亭主持てもせず」に観る先達の深謀遠慮―

さて、ちょっと勉強してみると、古今東西、様々な諺や慣用句、言い伝えなどあることがわかります。

私が、先達が残した諺というか教えの中で一番当たっているなあ、と思うのは「女房妬くほど亭主持てもせず」という言葉であります。

 

これは、まさにその通りで、不覚にも、例えば、キャバクラのお姉ちゃんからの

「大好きな○○ちゃん、最近ご無沙汰ね。エリカ(仮名)寂しいわ。いつでも待ってるわよん。」

なんてメールとか見られちゃって、カミさんが烈火のごとく怒ったとしても、そんなのは営業トークもいいとこで、妬くに値しないことなど言うまでもありません。(トークの例文がお粗末極まりないのは、もらったことがないためよくわからないもので・・)

 

しかし、こういうときのカミさんの怒りというのは、嫉妬というよりも

「こんなアホなことに金を使いやがって!しかもこんなアホなやりとりまでしているとはっ!!」

というところにあるのであって、妬いている、というのは当たってないのかも知れません。

 

嫉妬ということで、もう少し現実味のある心理状況で言えば、ことはもうちょっと微妙で、

『うちの人は女の子に少々優しすぎるとこがあるから、会社で愛想とかふりまいちゃって変に誤解されたりしてないかしら。』

くらいのところでしょうか。

もちろんこのレベルであっても、旦那が妬くに値するほどモテる、ということはほとんどなく、ご心配には及びませぬ、というのが実際のところでしょう。

 

ということで「女房妬くほど亭主持てもせず」というのは、まさにその通りで、さすがに先達はうまいこと言ったもんです。

モテる、というのは男の憧れの状況ではありますが、ことほど左様にそう簡単に手に入るものではないのです。

 

しかし、しかしですよ。

真理というのは、ここからもう少し掘り下げてみる必要があるんじゃないかと思うんです。

 

「女房が妬く」という状況は、亭主が冒頭のキャバクラの例ように何かしらよろしくないことをしでかしているから起こる現象ともいえます。

旦那様が、そういったことにはまるで興味もなく、ファミリーサービス一辺倒、或いは他に時間や金のかかる趣味といったものを持っていれば、起こりうる話ではありません。

 

つまり「女房妬くほど亭主持てもせず」という諺は、なにかしらそんなきっかけがあったとしても

「心配には及びませぬ。あんたの亭主は、そんなことしていたって金輪際モテるなんてことはないんだから。」

と説得或いは慰めの意味で発せられるフレーズなのです。

 

だから、当初瞬間的な状況では、まさにその通りだろうと思います。

ちょっとくらい女の子にちょっかい出したからといって、うまくいくどおりなどあるはずもないのです。

 

それはその通りなのですが、しかしですよ。

この亭主が凝りもせず、「モテたいなあ・・」という努力を続けたならばどうでしょう?

世の中、何事も継続していれば、スキルアップというインセンティブ(ご褒美)はあるものです。

そうすると、いつか、侮れない事態(つまり、ちょっとはモテてるかも、といった)が起こらないとも限らないのではないか、と推察するわけです。

 

とすれば、であります。

この「女房妬くほど亭主持てもせず」という諺は、実は深謀遠慮のもと、先達が残した見事なカモフラージュ的言説なのではないか、と深読みできなくもないことになりはしませんか?(「しねぇーよ。そんなの!」という声が聞こえてきそうですが・・・)

 

この諺、一見表面的には「まさにその通り!」という真理を表しているものの、実のところ、モテる極意を掴むまでの男の努力を、自虐的な言い回しで覆い隠してしまおう、という先達(もちろん男性)のちょっと複雑かつ深めの配慮なのではないか、と思った次第であります。

 

こんなことを思いついて書いていると

「ということは、じゃあきっとアンタもモテるために涙ぐましい努力をしてるんだろうな?」

と問われそうですが、そんなことはありません。

できるだけ波風立たないように静かに暮らしているだけでございます。

 

 

もうちょい、細けりゃなあ・・

細けりゃなんだよ?!?