マーケティングで未来を読みビジネスを俯瞰する―時代の変化と経営者の年齢について考える―Ⅱ(おしまい)

年齢的に70を過ぎ、世の中の動きも極めて激しくなっているにもかかわらず、引退については考えていない私。

何故なら今の組織でやることがまだありそうだからである。

というのは、以前違う業界に身を置いていた立場から見ると、どうもこの業界は保守的に過ぎるように見えてならないのだ。(「業界」という存在がどこもそうらしい)

 

この場合の「保守的」というのは、これまでの発想や考え方、習慣などをなかなか変えられない、ということを指している。

特に、私の所属している業界はそう思えてならない。

 

前回述べたように、ビジネス社会そのものがダイナミックに変遷しているにもかかわらず、既得権にしがみつこうという傾向が透けて見えてならないのだ。

国家資格という高い壁に保護された特殊な業界ではあるが、これまでの既得権で未来永劫食えていけるほど甘くはない、と思っている。

 

前述した「違う業界に所属していた」というのは、私の場合、「マーケティング」ということになる。

30代から40代にかけて市場調査(マーケティングリサーチ)というビジネスでマーケティングを生業(なりわい)にしていた。

 

言うまでもなく、マーケティングというのは未来を読む職業である。

次に何が来るか、世の中のニーズはどう流れるのか、今後どんなサービスや商材が支持されるのか、といったことを相当真剣に追及していた。

 

こっちの業界に移ってもう随分になるが、血気盛んだった頃、マーケティングビジネスで身に付いた職業上のものの見方というか、切り口の取り方というのは、今になってもなかなか抜けるものではない。

それどころか、私の場合、ますますマーケティング的な見方でビジネスを俯瞰するようになっている。

 

この感覚は、自社の若い人材にはまだ備わっていないように見える。

まあ、所属してきた業界がまるで異なるので、それは仕方のないことだとは思うが。

 

といった事情もあるので、もう少し、今の組織にとどまって、マーケティング的な視点によるこの業界の行く先を見ていくつもりである。

業界的にもそういう先見的な目線が求められているのではないだろうか。

 

もちろん見るだけでなく、具体的に必要な手立ても打っていくつもりだ。

そうやって少し先回りしたくらいの手を打って、組織作りを怠りなくやっていれば、私がいなくなっても大丈夫という気もする。

 

冒頭、よその会社の社長の年齢が気になって仕方がなかった、と書いたが、70を過ぎた今となっては、自分の年齢にしても他人の年齢にしても、気にしたところで仕方がない。

マーケティング的視点に曇りが出ないように、ひたすら常に世の中の動向を見定めながら、当面今の経営を続けていこうと思っている。

マーケティングは有効に働くか

 

おしまい