やりがいがなければ意味がない―「経費削減」という施策について思うこと―Ⅳ(おしまい)

業績を改善するために即効性のある「経費削減」という施策。

ただこの施策、即効性はあるものの、長く続けていると、全体の士気が下がるだけでなく、企業体力がやせ細ってしまうという危険性を含んでいる。

それになんといっても、面白くないし、楽しくない

 

私は税理士という立場ではあるが、専門分野である税務分野ばかりではなく、やはり「企業業績を伸ばしていくにはどうしたらいいのか」ということをトータルで支援したいと思っている。

それには売上を伸ばす、粗利率を上げる、余計な経費は使わない、必ず将来への投資は確保しておく、といったことを全方位的に考えなければ、企業は伸びていかないだろう。

 

そもそも、経営者にとっての企業経営、社員にとっての日常業務というのは、やっていて楽しい、やりがいがある、といった要素がなければ意味がないと私は思っている。

また逆に「意味」のある仕事であれば、自然にやる気や元気も出てくることだろう。

 

そういった観点で言えば、税理士事務所にとっての理想的な成果というのは、お客さんの業績が伸び、それとシンクロして事務所の収益も伸びていくということだと思う。

そのためには、「経費削減」といった引き算的なテーマだけで、仕事を進めていては実現が難しい。

 

私は企業活動の一丁目一番地は、やはり「売上を伸ばす」ことだろうと思っている。

この命題に後ろ向きになっては、企業の成長はないし、第一仕事をしていても面白くない。

 

冒頭の話に戻れば、財務省も低迷している国の経済状況を底上げするために、思い切った減税などすればいいのだ。

官僚には、民間の経営者のように「売上を伸ばす」といった才覚はないだろうから、そういった援護射撃をしてくれればそれでいい。

 

あとは民間企業である我々が頑張って業績を上げ、上がった成果から十分な納税をするのだから、税収減は心配しなくていいのである。

どうあれ取ろう取ろうとするから、ますます景気は悪くなるのだ。

 

また、我々自身も「経費削減」といったネガティブな試みだけに注力するのではなく、どうしたら「入り」即ち「売上」を伸ばせるかといったチャレンジを間断なく実行すべきである。

一社一社は小さな中小企業であったとしてもその総和で日本経済は底上げされるのである。

自分たちで這い上がれる。

 

おしまい