「財政の健全化」というのが至上命題―「経費削減」という施策について思うこと―Ⅰ

財務省の基本的な考え方というか思考理念は「入りを増やして出を押さえる」ということらしい。

もっと、格調のある言葉だったと思うが、あいにくその表現は忘れてしまった。(「入りを計りて出を減ず」だったかなあ?)

 

ここで言う「入りを増やす」というのは民間の我々が考える「売上を伸ばす」ということとは一致しない。

彼らの場合、税収を増やすということになる。

民間で言えば、会社が黒字だろうが赤字だろうが、役員報酬だけは増やす、ということに似ている。

 

だから、国の総収入であるGⅮPが増えたか減ったかには関係ない。

つまり、国の景気が良かろうが悪かろうが、民間が儲かっていようが経営に四苦八苦していようが、とにかく税収が増えればいいということらしいのだ。

 

一方で「出を押さえる」というのは支出を減らすということである。

国の場合、歳費という言い方になるのだろうか。

これは「経費削減」という民間の考え方と同じであろう。

 

例えば、これほど日本周辺の防衛事情が緊迫し、明らかに現在の防衛費では不足しているとわかっていても、その予算を増額することには様々な手段を使って妨害する。

今回は「増税」という、国民が一番嫌う言葉を持ち出して揺さぶりをかけている。

 

こういったことを続けていれば、確かに国庫の財政事情は改善するだろう。(残念ながら現実にはそうなっていないが・・)

財務省にとって、「財政の健全化」というのが至上命題らしいから、この目的に常に邁進することになる。

 

ここでは、例えば一度税率を下げるなりして景気を良くし、国全体の経済のパイを大きくして税収の総額を上げていく、といった考え方はないらしい。

いったん税収減に目をつぶるという発想は、決してしないということである。

 

これは、官僚出身の経済アナリストや官庁の事情に詳しい経済人などがよく語っていることである。

彼らの中には、もっと極端な言い方になると、

「財務省の役人は『国が滅んでも、財務省の省益が守れればそれでいい』と思っている。」

とまで決めつける人もいる。

 

ここまで書いてきたような話が、おおむね当たっているとすれば、財務省の考えていることは、国民の利益に敵対しているということになる。

まさか、と思っているようなことが実際起こる世の中だ。

上記のように財務省の官僚が考えていたとしても不思議な話ではない。

電卓と決算表

税収が増えればそれでいい・・

 

つづく