これを見て頭に入れるように?!?―私が新入社員だったあの頃―Ⅰ
私は大学を出て最初に就職したのは、新宿にある公認会計士事務所だった。
出社初日、事務所の場所がわからずうろうろしたことを覚えている。
その事務所は、まさかの花園神社境内の敷地内にあった。
第一印象としては、古いビルの2階の暗い感じの事務所だったように記憶している。
それは、照明が暗かったせいか、雰囲気そのものが暗かったからか、それともその両方だったのかはっきりとは思い出せない。
ところで、現在私の事務所では、新人が入ってきたとき、まず仕事の基礎知識をつけてもらうために、テキストやオンデマンドの授業などで勉強をしてもらっている。
同業者の事務所からの転職であれば、そんなに基礎から勉強する必要はないが、他業種からの転職、或いは新卒(まだ採用したことはないが・・)であれば、我々の場合、専門的な知識を必要とする職業なので、まずかなり勉強してもらわなければならない。
先月、一人の新人を採用したが、彼は今テキストやPCの画面を相手に奮闘中である。
他分野からの転職等であれば、一応覚えてもらうカリキュラムは整っているので、それを勉強してもらっているのだ。
さて、そんな現在の我が事務所の現状と比較して、私の新人時代はどうだったかと思い出してみる。
当時はインターンシップのような制度もなく、いきなりの職場経験だった。
その新宿の公認会計士事務所に就職して、最初に渡されたのは新聞紙大の財務諸表だった。
広げると数字がびっしりと印刷されている。
一応大学では会計学科を出ていることもあり、それが貸借対照表や損益計算書であることはわかるのだが、こんな大判の使用で見るのは初めてであった。
その紙面の一番左には、それまで見たこともないような勘定科目が、これまたびっしりと並んでいた。
その細分化の度合いときたら、学校時代勉強したものよりははるかに緻密である。
またその勘定科目には、すべてナンバーが振られ各科目が区分されていた。
状況を呑み込めないまま茫然としていると、私を指導担当することになった先輩社員が「これを見て頭に入れるように。」と言う。
「は、はあ・・・」と返事はしたものの、そういわれて私ははたと困った。
この数字の羅列や今まで見たこともない勘定科目の細分類をいきなり「頭に入れておくように。」といわれてもどうしていいかわからない。
なかなか頭に入りませんて・・・・
つづく