男子厨房で皿洗いⅠ
上京した折にはいつも次女のマンションに宿泊している。
寝泊りには不自由しない程度のスペースがあるので、厄介になることにしているのである。
そんなとき、ただ泊まるだけなのも申し訳ないと思い、台所に洗い物などあるときは皿洗いもやることにしている。
家内と一緒に上京した時は、彼女が洗い物から洗濯掃除まですべて完璧にやってくれるので、私一人が来たときとは有難みの度合いがまるで違う。
ま、私だって皿洗い程度ならできるのである。
しかし思い出してみると、これが父となると話がまるで違ってくる。
父が家事の手伝いなどしているのを見たことがない。
まあ私にしても、家にいる時は家事の手伝いなどほとんどしないほうである。
とはいえ、例えば自分の衣類の片づけや出し入れ、旅行や出張の際のパッケージなどは自らやっている。
父はそれすらやったことがないだろう。
これまでも、旅行の際は父の分も全て母が準備していた。
おそらく、靴下や下着ひとつどこにあるかも分らないのではないだろうか。
しかし、私を含め周りのみんなも「そんなもの」と思ってこれまで過ごしてきた。
世代、ということもあって、格別違和感を持つことなくこれまで来たのである。
つづく