やりがいのある仕事プラス収入的にもバカ上がりした―「働き方」について思うこと―Ⅻ

かつて「日本人は働き過ぎだ」といわれ、もっと休め、有給休暇を取れ、と世界から言われた日本の労働事情。

バブル経済崩壊後、一転して労働環境を整備してきたはずなのに、いまだにブラック企業やサービス残業といった言葉や実際そんな状況が存在するのもまた現実の日本です。

 

そういう押し付けられた労働事情ではなく、自らの意思でちょうどバブル時代東京でモーレツに働いてきた私は、田舎に帰って会計事務所を経営するようになっても、職場の労働環境には割と無頓着でした。

しかし、「働き方改革」の名のもと、コンプライアンスが厳しくなってきたこともあり、社会保険労務士や副代表の女性税理士と一緒になって「勤務規定」や「給与規定」などを、現代の労働事情に合うように整備してきたのです。

 

そうやって、地方の一零細企業である私でさえ、労働環境は整えつつあります。

そんな中、「ブラック企業やサービス残業といった言葉に象徴されるように、労働者保護の観点からの労働環境の是正は達成されていない」といった状況なのは、いったいどういうことなのでしょうか?

 

このコラムにもありますように、「ある種楽しんで、生き生きとしたモーレツ社員や「24時間戦えますか」ではなく、モーレツに働かざるをえない、24時間戦わざるをえない、そんな状況」にある企業が存在する、ということです。

これはいったいどういうことなのでしょう。

 

それは一にも二にも、日本経済が停滞どころか衰退してきたからにほかならない、と私は思っています。

というのは、バブル経済の頃、モーレツに働いたのは、仕事が面白くてやりがいがあったというだけでなく、実際、収入もすごい勢いで伸びていたからです。

 

そこが、現在のブラック企業やサービス残業と著しく違うところです。

そういった企業の仕事内容はあまり詳しく紹介されていませんが、おそらく、やりがいを感じる仕事内容でもなければ、賃金も抑えられているのでしょう。

 

バブル時代は、不動産など右から左に動かすだけで、濡れ手に粟の莫大な金銭を手にすることができたりもしたので、決して、内容的に「やりがいのある仕事」ばかりとは言えなかったかも知れません。

しかし、収入的にはバカ上がりしたことだけは確かです。

 

今回取り上げているコラムは、バブル崩壊後における日本の制度的な不備というだけでなく、この日本人の「働き方」の変化に疑問を投げかけています。

世界から「日本人は働き過ぎだ」といわれたその背景には、なにか得体の知れない思惑といったものはなかったのでしょうか。

 

収入もバカ上がり

 

つづく