「働き方」はめちゃくちゃでも「働くこと」は楽しんでいた―「働き方」について思うこと―Ⅸ

日本経済がバブルへと向かいその頂点を極めるまで、という、おそらく近現代史の中では経済的に見たとき最も面白かった時代、そのバブルのまさに中心地であった東京で、同世代の仲間たちと起業した私。

マーケティングリサーチを生業(なりわい)にしていた私たちは、金余りの企業が発注するまさに想定外のレアな案件を次々と受注していきました。

そして、その成果物であるレポートを納品するためにガムシャラに働いたのです。

 

わずか、7,8人で回していた会社は、そんなハイレベルの受注案件に対して圧倒的にマンパワーが足りなかったため、期せずして超長労働時間にならざるを得なかったのです。

超長労働時間になったのは、具体的には、これまで整理してきたように、次の4点が主な理由でした。

 

・身の丈に合わない高レベルの案件を引き受けていた

・そのほとんどが前例のないレアケースの案件だった

・一つ一つの案件を、手を抜かずにひたすら丁寧に仕上げていた

・ほとんどの工程がまだデジタル化されておらずアナログ的手法に終始した

 

まあ、これだけではなかったのですが、要約すると、以上の4点ということになります。

 

さて、これほどの条件がそろってしまうと、右から左へと流れ作業的にこなせるものではありません。

4番目の理由に書かれているように、まだデジタル化された世の中ではなかったので、人間の足と手と頭を使って、データを集め、それを分析し、成果物としてまとめ上げる必要があります。

 

必然的に労働時間は長大なものになり、今でいう「ブラック企業」どころの騒ぎではなかったのです。

勤務時間などあってないようなものでした。

 

しかし、今問題になっている「ブラック企業」とは決定的に違うところがありました。

それは

「メンバーの誰もが、仕事をいやいややらされているわけではなかった」

ということです。

もっとポジティブな言い方をすれば

「メンバーの誰もが、それぞれの役割を心得、積極的に仕事に向き合っていた」

ということになります。

 

「寝る時間も惜しんで」的な働き方だったので、肉体的にはきついときもありましたが、精神的には常に前向きで、

「今度も、顧客を驚かすくらいの成果物を納品してやろう」

と、クライアントの「想定を超える高評価」をいつも虎視眈々と狙っていたのです。

つまり「働き方」はめちゃくちゃだったものの「働くこと」そのものは楽しんでいたことになります。

 

背伸びをする男性

働くのは楽しい~(^^♪

 

つづく