たかがズボンされどズボン―メンズファッション果つるところ?!?「選べないっ!」という現実に直面した日―Ⅳ(おしまい)

旅先の伊豆の海辺で、不覚にも穿いていたズボンを波打ち際で濡らしてしまった私と義理の息子。

仕方なく、二人そろって一番近い繁華街である下田の駅前のス-パーに着替えのズボン調達に向かった。

 

息子の方は、ここで適当なズボンに穿き替えたならば、そのまま下田の駅から電車に乗って東京に帰らなければならない。

ところが、そのたかがズボン探しに四苦八苦した。

不本意ながら、やっと決めたつんつるてんのズボンを穿いて息子は東京へと帰っていった。

 

息子と別れたあと、ふと考えた。

今回、義理の息子と(長女の旦那)と買い物をして、気付いたことが二つある。

 

一つは、買い物をしながら義理の息子が放った

「僕はお義父さんほどおしゃれじゃないけど、そんな僕から見ても、それにしてもここにはなんにもないですね。」

というセリフである。

私は彼とファッションについて話したことなどなかったが、向こうはこっちのことをそんな風に見ていたんだ、ということが判明した。

 

確かに私は着道楽である。(同時に「食道楽」でもあるのだが・・・)

ただ、上京したときは、そんなに着替えも持っていけないので、身の回りにある服を適当に着回していただけである。

そんな私も、彼の目から見れば、お洒落に気を遣っているように映っていた、ということである。

 

これはちょっとうれしいような照れ臭いような、やや複雑な気持ちである。

バレていたか、という気持ちと、通じていたんだ、という気持ちが入り交じる。

 

長女の話では、彼は着るものにはほとんど無頓着のようである。

しかし、長身で着映えのする体形でもあるので、少し、お洒落に気を配ってもいいかも知れないな、と思った。

 

もう一つ気付いたことは、この地域の男性はどうやっておしゃれをしているのだろう、ということである。

私と義理の息子が訪れたスーパーは、ざっと近隣を見渡しても一番大きな規模であった。

そのスーパーにあれだけしかないということは、他はもっと知れているということになる。

 

特別、お洒落をしたいと思わなくても、あれじゃあ選べないようなあ、と思った。

まあ、少々遠いといっても、東京までは電車で2時間くらいで着く。

ちゃんとしたものが欲しいときには、都心まで出かけているのかも知れない。

そこいらは、九州のさらに田舎に住んでいる私などとは事情が違うのだろう。

 

リゾート地に遊びに行って、お土産ではなく日用品を買うという、ちょっと珍しい経験をした結果、上記のような面白い体験をした。

田舎でメンズファッションを極めるというのはなかなか難しそうだ。

それでも男どもには、何とか頑張って自分なりのお洒落を追及してもらいたい。

 

           このあと、ズボンを買いに行こうとは・・・・・

おしまい