女の子にモテるために・・・―「仕事ができる」とはどういうことか?を読んで―Ⅸ
東大医学部の友人宅で出会った4,5人の秀才たち。
中で、ちょっと変わったタイプの人物がいました。
彼の出身地であるその地方始まって以来の秀才は、どうして東大医学部に入ったのでしょうか。
「何故だと思う?」と、問いかける私の友人に、私は次のように応えました。
「そりゃあ、勉強ができてたし、医者にもなりたかったからだろう?」
と、私が答えると、彼は首を横に振りながら
「いや、違う。あいつは東大の医学部が、全大学の中で一番偏差値が高かったから来たんだ。しかももう一つ理由がある。」
私が
「へ!?その理由ってなんだよ?」
と聞くと、友人は
「一番難しい大学に行けば、女にモテる、と思ってあいつは医学部に入ったんだよ。あいつは、『自分が得意な分野は勉強しかない、だから女性に対して自分をアピールする手段は、これしかない。』と思い込んでいる。」
と答えました。
「え!?!それが動機かよ。そんなモチベーションで東大の医学部か・・・」
私は驚きが隠せなかったことを覚えています。
ということは、彼にとって、医学部の偏差値が一番上ではなくて、例えば法学部の方が上だったとしたら、そっちへ行ったことになります。
まあ、勉強だけは抜群にできるわけですから、どこでも選ぶことは可能なのです。
さて、その彼の「女の子にモテたい。」という動機。
その後、実現できたでしょうか。
確認したわけではありませんが、まあ無理だっただろうな、と思います。
それくらい、かなり「変な奴」でしたから。
誤解しないでいただきたいのは、私にとって別に「いやな奴」というわけでは決してなかったということです。
ただ彼が、勉強ができる、ということを、女の子にモテる手段として使ったとしても空振りに終わっただろうな、と思います。
結論から言うと、明らかにそう思えるくらい、彼には「センス」のかけらもありませんでした。
昔の話が長くなっていまいましたが、「モテる」と「センス」の関係でいえば、まさにその象徴的なエピソードとして思い出したので書いてみました。
まあ、ちょっと変わっていた彼も、その後、医者となって立派に社会に貢献でもしていれば、東大というブランドはダテではないですから、ちゃんと女性も選んでくれたでしょう。
ただ、彼が切実に望んだように、そのブランドだけで、女性にモテまくるという状況は難しかっただろうな、と思うだけです。
つづく