「PDCAサイクル」はどうなのか?―現場に考えさせる、決めさせることの難しさ―Ⅵ
上司が不在の場合、そのとき現場にいた担当者が決済をしてしまう、というようなドイツ企業の合理性に慣れるにしたがって、日本人である隅田貫氏(メッツラー・アセットマネジメント シニアアドバイザー)も「こんなに仕事をやりやすい環境はないな」と思うようになります。
その結果、日本では仕事を管理するつもりが、人を必要以上に管理することになっているのではないか、という疑問も抱くようになるのです。
この現場にある程度の決済や判断を任せる、といったこと以外に、今回のメインタイトルである
―ドイツ人上司に「目標管理が緩いのでは?」返ってきた意外な答え―
に関しても、隅田氏はドイツ企業の大きな方針やものの考え方について学ぶことになります。
その前提として、まず日本企業ではどうだったか、という点について
―「圧力」をかけない上司―
という小タイトルをつけた上で、隅田氏は以下のように述べておられます。
―管理の典型例が、「ノルマ」の設定です。
私のいたドイツの会社でも、ノルマというか、計数目標は当然あります。
ただ、計数目標だけでいたずらに社員を追い込む光景は見たことがありません。
日本の企業に勤務していたころは、目標設定→業務遂行→定期的な進捗状況確認→状況把握、分析、反省→対応協議、遂行→定期的な進捗状況確認→・・・といったサイクルで、常に計数目標の達成状況がチェックされ、状況によっては「叱咤激励」が飛ぶことも珍しくありませんでした。―
この、目標設定→業務遂行→定期的な進捗状況確認→状況把握、分析、反省→対応協議というサイクルは、プラン(P)目標設定(計画)→ドゥ(D)業務遂行(行動)→チェック(C)進捗状況確認(検証)→アクション(A)遂行(行動)という形式で、いわゆる「PDCAサイクル」と呼ばれているものです。
これは今でも、多くの日本企業で採用されている「目標管理」の基本的な手法ではないでしょうか。
この手法については、私の事務所でも、
「しっかりとした経営計画をたてた上で、その目標を日常的にきちんと管理していきましょう」
という風に、顧客企業にも推奨しているところでもあります。
しかし、正直言ってこの手法、それほど普及していません。
経営計画を考えるのですが・・・・
つづく