結構難解なレベルの文学作品にも触れていた―文学全集、一家に一セットあると思っていたあの頃―Ⅲ
子供の頃から、何十巻もの百科事典とともにわが家にあった「少年少女文学全集」「世界文学全集」「日本文学全集」の3パターンの「文学全集」。
最初にお世話になったのはこの3種類の中の「少年少女文学全集」だった。出版社は確か「講談社」だったと思う。
今考えてみれば、「ギリシア神話」や「ローマ神話」それから「西遊記」「三国志」といった読み物は、原文はかなりの長編である。
そのままでは、子どもにとって読みこなすのは相当負担なはずだ。
それを、おそらく出版社の方で、子供でも読めるようにうまくまとめてくれていたのであろう。
そうでなければ、小学生レベルでああいった作品を読みこなすのは難しかったと思う。
この「講談社」の「少年少女文学全集」にお世話になった人は結構いるのではないだろうか。
今でも、こういった少年少女向けで、何十巻もそろえた文学全集のようなものはあるのだろうか。
さて、この「少年少女文学全集」の次に手を出したのは、「日本文学全集」「世界文学全集」の両方、同時だった。
「日本文学全集」の方は筑摩書房の「現代文学大系」で「世界文学全集」の方は中央公論社の「世界の文学」というタイトルで売り出されていたのである。
「現代文学大系」の方は明治以降の文学をほぼ網羅しており、当時昭和40年代だったから、その頃までの作品が収録されていた。
ここで、日本の現代文学におけるほとんどの作家の作品に触れることができたのである。
日本文学への入口としては、よく名前の知られていた夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介といった作家のものを選んで読むことになった。
森鴎外の「山椒大夫」や芥川龍之介の「蜘蛛の糸」などは、少年少女文学としても広く名前がいきわたっていたので、入りやすかったのである。
しかし、当然、これらの作家には少年少女向きのものを超えて難しい作品も多い。
すでに知っている少年少女向きのものから入ったとしても、同じ巻の中に収録されている他の作品も読むことになる。
そんな感じで、小学生から中学生になるころは、結構難解なレベルの文学作品にも触れていたのである。
明治の作家は、まだ難しい漢字の使い方や中国の古典文学からくるような高度な引用表現を多用していた。
それに対して、中学生にもかかわらず、なんとか食らいついていたのだから、今振り返ってみるとかなり背伸びしていたとはいえ面白いといえば面白い。
日本文学を網羅した「筑摩書房」の「現代文学大系」
つづく
今日の川柳コーナー
◆クールビズ? ネクタイ外した だけじゃない?
◆テレワーク 下はパジャマで ごめんなさい
スーツを脱いだらおしゃれが難しい・・・・