自分が体験したことを紐づける―AO入試の思い出、親子奮闘記―Ⅲ
受験生の娘だけでなく、家族で初めて向き合うことになった「AO入試」という受験制度。
ほぼすべてが、小論文形式のこの制度は、出されたテーマに対して文章で答えなければならない。
○×や選択式ではないので、すべてオリジナルで書き起こす必要があるのだ。
しかも出題されているテーマが、「宗教」「生き方」「世界平和」といった、普段考えたこともないような形而上学的かつ高邁なる内容のものなので、親子ともどもハタと困ってしまった。
「どうすりゃいいんだ!」
まあ、娘一人の力ではどうにもならないだろう、とは思っていたので、サポートに入るつもりではいたものの、私も大いに戸惑ってしまった。
まあ、四の五の言っていても始まらないので
「とにかく、各テーマについてお前の考えていることを書いてごらん。」
と、まずは書かしてみた。
案の定、ステレオタイプの当たり前の内容しか書かれていない。
それは想定内だったので、
「よし、まずはこれでいい。次は、それぞれのテーマに、無理やりでもいいから自分が体験したことを紐づけて書き直してごらん。」
と振ってみた。
娘は
「え、紐づけるってどうすればいいのよ。」
と、さっぱりわからない様子である。
「例えば、道端で困っていたお婆さんを助けたことがある、とか、転んで泣いている子供をなだめて面倒を見た、とかなんかあるだろう。」
と私。
「え、そんなんでいいの?」
と娘。
「実際、自分で体験したことでなければならないけれど、その中で、どんなに小さなことでもいいから、世の中に貢献したかも知れない、と感じたことがあったら何とかして思い出せ!」
と私。
つまり、自分オリジナルの体験でかつどんなに小さなことでもいいから世のため人のために尽くしたかな、と思う接点を探し出させることにしたのである。
つづく