どうも一筋縄ではいきそうもない―AO入試の思い出、親子奮闘記―Ⅰ

今目の前に1冊の薄い冊子がある。

表紙には「2005 AO型入学審査」コミュニケーションシート、とある。

そうだ。

大学のAO入試の出題課題を書いた冊子である。

 

2005年ということは、年度からしておそらく次女が受けたときのものであろう。

我が家では、次女とその下の末っ子である長男とは、学部は異なるが同じ学校のAO入試を受験して、なんとか大学に入学することができたのである。

 

今、目の前にあるのは、次女が受けたとき出題された課題がかかれた冊子をコピーしたものである。

おそらく、私が私用にとコピーさせたものであろう。

 

というのは、このAO入試には家族全員で取り掛かったからである。

まさに総力戦であった。

 

次女はある程度実績のある公立の進学校に入ったものの、成績の方はあまりパッとしなかった。

部活や友達関係などは大いに楽しんだようなので、それはそれで高校生活は充実していたのであろうが、いよいよ大学進学のときになってハタと迷うことになってしまった。

 

それなりの進学校だったとはいえ、公立の学校だったせいか、私立大学への推薦入学などにはあまり実績がなく熱心でもなかった。

次女はそこしか行く先はないと思っていたので、選択に困ってしまったのである。

 

どうしたものか、と考えていたら、ある日、次女がなにやら勇んで学校から帰ってきた。

「お父さん、AO入試っていうのがあるんだって!」

と、やや興奮気味である。

 

当時、AO入試というのは、まだそれほど知られておらず、名前くらいは聞いたことがあったが、身近なものではなかった。

次女が手にしていたのは、その入試要項であった。

 

ここに書いてある課題について、小論文形式で書き込んでそれを提出し、審査に受かれば入学できるらしい、というところまでは何とか理解することができた。

が、問題はその内容である。

 

カミさんも含めて、家族全員で恐る恐るその中身をのぞいてみたら、いろいろな課題が書かれている。

どうもこれは一筋縄ではいきそうもないということがわかったのである。

 

つづく