マーケティングを回した先に、理想としての「完璧なプロダクト」が実現される―メイドインジャパンンの不振からビジネスを考える―Ⅶ

時には早期撤退も視野に入れながら、市場の反応に対して迅速・柔軟に軌道修正を行いつつ、バージョンアップを重ねていくという、世界基準の「加点型完璧主義」のものづくりの手法。

これに対して、初めに決めた方針はなかなか撤回しない、というお役所仕事にもよくある、日本人特有のものの考え方、進め方。


こういったジャパンモデルが、ものづくりにおいても、そのほかのビジネスにおける処理プロセスの現場でも、世界の基準と合わなくなってきているのではないだろうか。

ビジネスにおいて、日本が世界に後れ始めた今、国際的なビジネスシーンで、たびたび指摘される課題でもあるのだ。


短サイクルで回していくものづくりの手法について、筆者さらに次のように付け加えている。


― 短サイクルに合わせ、開発とプロモーション、流通、販売、リサーチなどが連動していく。

このサイクルを重ねた先に、理想として思い描く「完璧なプロダクト」が実現される。―


つまり、短サイクルで回してくのは、ものづくりそのものだけではない。

その本体の本筋に合わせて、プロモーション、流通、販売、リサーチなどを連動させることで、周辺業務もぬかりなく組み立てていく。


これらは、まさにマーケティングの分野ということになる。

現在、ここが日本企業の最も弱い部分と言われているのだ。


おそらくこれは、なにかのプロジェクトを進めるときには、当たり前のようにパッケージ化されているのではないだろうか。

こういったマーケティングを含むパッケージ化が日本企業においては、各部署で共有化されていないのが現状なのである。


そもそも、ビジネスを組み立てるとき、ものづくりならものづくりだけで済むはずもない。

上記のような周辺業務と一体となって進めなければ、仮にものづくりそのものがうまくいったとしても、全体的なビジネスの成功モデルとしては成立しないのだ。


開発、プロモーション、流通、販売、リサーチなどを連動させるという、上記のようなマーケティングモデルは、早急に日本企業が取り入れるべき大きな課題なのではないかと思う。

ここをやり切らなければ、世界との差はますます開くばかりになるのではないだろうか。

 

       世界に冠たる日本のビジネスモデルだったのだが・・・

つづく