諸外国に比べて益々遅れを取りそうな気配―日本の産業構造を通じてアフターコロナを考える ―Ⅲ
アフターコロナにおいては、もう様々な課題を先送りにしていられなくなってきた日本の産業界。
この追い詰められた状況で、いったいどのような手を打っていけばいいのであろうか。
それを考える前に、政府の対応などはどうなっているのか。
その点について朝比奈一郎氏は次のように述べておられる。
― 短期的な景気対策はもちろん、アフターコロナ・ウィズコロナの社会情勢に適応したテクノロジー対応、経済構造の改革を積極的に進めていかなければなりません。
コロナ危機前から、例えばSociety5.0などの標語を掲げて施策を進めるなど、日本政府も手をこまねいていたわけでありませんが、残念ながら、諸外国に比べて、テクノロジー導入のスピードは遅く、コロナ危機の痛みも相対的に軽いので、益々遅れを取りそうな気配すらあります。―
コロナ危機の痛みが相対的に軽いか否かは、今後の社会情勢を見なければ何とも言えないところであるが、グズグズしていたら確かに益々後れをとっていくかも知れない。
日本政府は「Society5.0」のように、標語を掲げるのは得意であり、また好きなようだが、掛け声の割に実際には効果が上がらないことが多いように見える。
今回の新型コロナウイルス危機において、定められた「特別定額給付金」(10万円の一律給付金)の申請も、インターネットを通じて行なった私の同級生が何人かいたが、申し込みの煩雑さと給付の遅さに呆れかえっていた。
彼らは、日本の行政の、ITリテラシーの低さに対する怒りをLINEのグループの中で、思いっきりぶちまけていたのである。ちなみに郵送で済ませた私の方が、給付ははるかに早かった。
まあ、政治や行政はともかくとして、民間である我々はそれに関係なく、自分たちのテクノロジー対応の強化を図るしかないだろう。
そうしなければ、今後生き残っていくことが難しくなるのは目に見えて明らかで、自分の身は自分で守っていくしかなさそうである。
つづく