「家族経営」という言葉にも疑問符?―会社はだれのものかを考える―Ⅲ
世界の流れも「株主中心主義」から「ステークホルダー主義」に移り始め、しかもかなり本気である、という田中教授のお話。
この点に関して、日本の場合はどうであろうか。
田中教授はインタビューに対して次のように語っておられる。
―今こそ「日本式」を見直す絶好の機会
——翻って日本企業はどうでしょうか。この変化は有利に働くでしょうか。
【田中】ステークホルダー主義が世界の潮流だというと、日本は「三方良し」に象徴されるように、昔からステークホルダーを大切にしてきたという人もいます。
しかし、私の見方は違います。
たとえば
「わが社は家族経営だ」
という経営者は少なくないですが、社員を本当にわが子と同じく扱っている経営者がいますか?
わが子にするように自分の資産を社員に譲渡する経営者などいないですよね。
むしろ自分の都合のいいときだけ家族と言っている経営者も多く、ウーバーと似た欺瞞を感じます。―
私もこのインタビュアーと同様、株主ではなくステークホルダーを大事にするという流れの話を聞いたとき、それは従来の日本式経営にかなり合致するのではないか、と直観的に思った。
しかし、上述のように田中教授の意見はなかなか手厳しい。
「家族経営」といった言い方は、確かに田中教授の言われるように、同族会社(日本の場合、多くの会社がこれに当たる)の経営者がよく使っているが、「厳密な意味では違うだろう。」という、指摘については「その通り」と言わざるを得ない。
実際、直系血族以外への事業資産の譲渡というのは、ほとんど行なわれていない、というのが現状である。
とはいえ、外国にこれに似たような考え方がそんなになく、「三方良し」的な考え方が日本独特の企業文化だとすれば、やはり日本は株主至上主義が馴染みにくい国のような気もする。
日本企業の今後取るべき姿勢も含めて、田中教授はどのように考えておられるのだろうか。
つづく
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