ダボス会議でもステークホルダー資本主義がテーマに―会社はだれのものかを考える―Ⅱ

アメリカでも、2019年8月、ビジネスラウンドテーブルの宣言で、従来の株主第一主義から脱却して、ステークホルダー主義、つまり社員や地域社会の利益を尊重する方針を打ち出した、という田中教授のお話。

 

田中教授のインタビューはさらに続く。

―(株主第一主義からステークホルダー主義に舵をきったという)その流れを受けて、今年のダボス会議でもステークホルダー資本主義がテーマになりました。

建前で言っているだけだという見方もありますが、気候変動への取り組みなどを見ても、本気度は高いと思います。

時代の潮目が変化した中で、ウーバーが自分たちの価値観をどう位置づけていくか、注目ですね。―

 

私はこの記事を読んで

「へぇー、アメリカも『会社は誰のものか』という問題について、ようやく少しまともな感覚になってきたのかな。」

という感想を禁じ得なかった。

そんなの当たり前だろうと、思うのである。

 

そもそも人が株を購入するとき、

「この会社の理念哲学に共感しているから・・」

とか

「この会社の社会的存在意義が素晴らしいから・・」

とか

「この会社の目標や方針を応援したいから・・」

といった理由で選ぶ人がどれだけいるだろうか。

「そのうち値上がりしたら売り抜こう・・」

とか

「配当が結構良さそうだから・・」

とかいった投資目的で買うのではないだろうか。

 

つまり、ほとんどの場合金儲けの手段として、損得の計算済みで購入するのだろう、と思う。

もちろん株の売り買いというのは、そういうものとして制度上保証されているのだから、それが悪いと言っているのではない。

ただ、「会社は誰のものか」を考えたとき、そんな目的で株を所有する人々のもの、というのは、どうしても素直に納得がいかない。

 

「会社」というのは、いわゆる「社会的公器」として、もっとほかの存在意義があるのだろうと思うのである。

そう考えたとき、先述の「ビジネスラウンドテーブルの宣言」というのは、ようやくまともな視点に立つようになったのかな、と思わせるのだ。

 

 

つづく 

 

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