レザーが好きでして―コスパがいいと思って買ったんだが・・・・―Ⅴ

かなりお気に入りの1枚、ダンヒルのレザーコート。

さすがに、その場でお買い上げ、とはいかず、その日はそのまま帰宅する。

 

それからしばらく経って、東京に出張する機会があった。

東京滞在中に時間があるときは、よく新宿の伊勢丹に行く。

ここのメンズ館を上から下まで一通り見て回ると、ファッションを起点とするその年のトレンドや今後の傾向、新しく登場した興味深いブランドなどが見て取れるのだ。

 

すると、伊勢丹にも例のコートがあった。

ジーっと見ていると、女性の店員さんに声をかけられた。

「どうですか。羽織って見られませんか?」

・・・というわけで、東京でも羽織ってみた。

どこで羽織ろうがおんなじなのに、全くアホみたいな話である。

 

『やっぱりいいな、コレ。』

・・・結局は、普段おなじみの鹿児島の店で買うことにした。

いつもだと、こんな大物はセールになるまで待つのだが、こいつはデザインがオーソドックスな上に、価格も比較的リーズナブルなので、残っている可能性は低い。

 

今までも何回か経験したのだが、買いそびれたら、2度と出会うことはなさそうな代物である。

「あんとき、買っておけばよかったなあ・・・」

と、後悔はしたくないと思った。

 

問題はカミさんである。

「また、そんなもの・・・」

と、怒られるに決まっている。

なんとか言い訳を考えた。

ショップから電話をする。

 

革製とは言わずに

「ビジネス用に、ちょっとプレーンなコートが欲しくてさあ・・・」

と、仕事で使うんだからしょうがないよね、といった理由をこじつけてOKをもらう。

 

現物を見たとき、しこたま怒られるかと思ったが、これについては、意外にもそうでもなかった。

わかっていて、もうあきらめているのかも知れない。

 

最近、ちょっと着る機会が少なくなったが、ダンヒルのこのコート、一生付きあっていくであろう、大事な相棒である。

 

         なんとかカミさんのOKを・・・・・

 

つづく