レザーが好きでして―コスパがいいと思って買ったんだが・・・・―Ⅳ

ダンヒルで購入したプレーンなステンカラーのネイビーのコート、行きつけのダンヒルのショップで、こいつに最初に出会ったときは衝撃であった。

レザーで「紺(ネイビー)」というのは珍しい。

おそらく一番多いのは「黒(ブラック)」ではないだろうか。

その次が「茶(ブラウン)」であろう。

 

ネイビーが好きな私は、まずその色に引き込まれた。

ただのネイビーというよりは、濃紺と碧(あお)の中間、それは深いイングリッシュブルーとでも言えばいいのであろうか・・・日本ではあまり見られない色出しである。

 

次にそのオーソドックスなデザインである。

レザーには装飾過多なものも多い。

特に、ライダーズジャケットやブルゾン系には、金属のビスや過剰なファスナーなどあしらったものがよく見られる。

それはそれで一つの世界観なのだろうが、私にはやや無縁のジャンルである。

 

ダンヒルのそれは、前面のボタンが隠れる方式(比翼式或いは比翼仕立てといいます)の極めてプレーンなシングルステンカラーのコートであった。

こういうシンプルなものは「質」がよくなければ、たちまち貧相に見えてしまう。

 

しかし、そこはダンヒル。

質感など、見栄えも申し分ない。

馴染みの女性店員に勧められるままに羽織ってみた。

やはり

「いやいや、こ、これはいいじゃん!」

であった。

 

出会って一瞬で「欲しい!」と思ったが、問題は価格である。

相手はダンヒルだ。

相当なレベルを覚悟しなければならない。

30万円台か、40万円か・・・或いは50万か・・・そうなると、とても手が出ない。

 

片目をつぶるようにして、そうッとプライスタグを見る。

すると、なんと20ん万円、という数字が目に飛び込んできた。

「へ、意外に安い!」

と、思った。

 

店員さんも

「私も驚いたんですけど、結構押さえてあったんですよ。かなりお得だと思いますよ。」

と、誘い込んでくる。

まあ、このショップでは無理やり押し付けられるようなことはないので、考える時間はある。

ここはひとつ冷静にならなければならない。

 

   京都の庭園にて。カミさんのダウンに比べて保温力はいまいちなんですけどね。

つづく