「質」の高い、新しい企業の誕生が切望されている―事業承継支援、というけれど・・・―Ⅴ
さて、こんな風に考えてくると、本質的な意味で経済を活性化させる策というのは、事業承継も大事ですが、もっと注力すべきなのは「起業数を増やすこと」なのではないか、と私は思います。
本来、経済活性化の源泉はそこにあるのではないでしょうか。
これほど、技術の進歩や価値観の変化が激しい時代に、ビジネスチャンスがないはずがありません。
それにしては、世界的に見ても、日本の起業件数は少ないといわれています。
とはいえ、現在と高度経済成長期とは時代背景がかなり異なります。
決定的に違うのは、当時はまだ人口が右肩上がりだったということです。
そういう意味では人口減に転じた現在の日本では
「どうせ経済の活性化など望み薄なんだ」
という空気になっているのかも知れません。
しかし、そういうときだからなおさら新しい事業の誕生は必須である、といえるのではないでしょうか。
しかし、残念なことに、今の日本ではその「熱」があまり感じられません。
時代の背景が「人口減」に転じている、ということは、かつてのように「量」の戦いでは、もはや立ちいかないことを示しています。
そんな時こそ、極めて「質」の高い、新しい技術や切り口を持った企業の誕生が切望されているのではないかと思うのです。
確かに、せっかく作った会社を1代限りで存続させないというのは、もったいなく残念な気もします。
とはいえ、事業承継というのはある意味面倒な面もあります。
先代からの古い企業文化や古参の社員というのは、根本的な見直しや入れ替えが必要という点で、出発時においてハンディになることも多いのです。
もっともっと元気な企業が欲しい。
つづく