夢でもいいから会いたいよ・・・―こんな夫婦の絆もあるのか・・・―Ⅱ
突然亡くなった夫を慕う女性の人生相談・・・
その慟哭にも近い相談内容に思わず引き込まれてしまった私。
相談の中身は次のように続く。
―亡くなる前の日の朝、夫は駅周辺を散歩しながら「俺の人生はつまらないものだった」とぽつりとつぶやきました。私は「いや、そんなことはなかったよ。この60年間、私はとても幸せだったよ」と心からお礼を言いました。お父さんの陰で何一つ不自由することなく、毎日が楽しかったのです。
まさか夫が倒れるとは思っていませんでした。私にはもったいない夫でした。―
・・・・いや、ダメである。
このくだりは、何回読んでも涙が出そうになって参ってしまうのだ。
本当にこんなことってあるのかな・・・
世俗にまみれ、汚れちまった私の心は、このご婦人の、あまりのまっすぐな魂の叫びに、つい疑念の思いを抱きそうになる。
が、
「いやいや、そんなことを思ってしまうお前の方がどうかしているぞ。」
と、もう一方の心の声も聞こえてくる。
「俺の人生はつまらないものだった・・・」自らそう言わしめたこのご主人の人生は、それほど波乱のない、おそらく穏やかなものだったのだろうと推測される。
それを少し悔やんでいたご主人・・・しかし、傍らでともに人生を過ごしてきた、この奥さんの感想はまた違ったものだったようだ。
奥さんにとっては、「何一つ不自由することのない楽しい人生だった。」という、感謝に富んだ日々を過ごしたことになっている。
これは、男と女の人生に対する感じ方の違いだろうか。
つづく