事前確定届出給与とは?
事前確定届出給与とは
① 支給対象者、支給時期、支給額をあらかじめ定める
(株主総会等により決議し、議事録を作成する)
② その内容に関する届出書を所轄税務署長に提出する
※届出の提出期限
1.株主総会等の決議の日から1ヵ月以内
2.支払予定日が属する会計年度の開始日より4か月以内
上記1.2のいずれか早い日が提出の期限日となります。
③ 届出どおりの支給日に届出した支給額を確実に支給する
以上の①~③の条件を満たすことで、損金と認められるものです。
届出した支給日や支給額に1円の違いや1日の違いがあると、
その時点で、事業年度内の支給額が損金として認められません。
そこで次のように考える方もいることでしょう。
「利益調整のために、とりあえず届出をして、支給するかしないかその時点で判断すればよいのでは?」と。
この点については、
「給与所得」についての通達(所得税基本通達28-10)にて
【給与等の支払を受けるべき者がその給与等の全部又は一部の受領を辞退した場合には、その支給期の到来前に辞退の意思を明示して辞退したものに限り、課税しないものとする】
とされています。
支給日前に、役員からの「賞与辞退の申出書」や「不支給決議の議事録」等、書類をきちんと作成して保管する必要があるということです。
それらがない場合、支給が決まっている給与については事前に辞退しない限り、受け取らなかったとしても課税されます。
もらっていないボーナスに対して社会保険料、源泉所得税、住民税がかかるのです。
ただし、役員が、次に掲げるような特殊な事情の下において、一般債権者の損失を軽減するためその立場上やむなく、自己が役員となっている法人から受けるべき賞与等その他の源泉徴収の対象となるもので未払のものの受領を辞退した場合には、当該辞退により支払わないこととなった部分については、源泉徴収をしなくて差し支えないとなっています。
(1) 当該法人が特別清算開始の命令を受けたこと。
(2) 当該法人が破産手続開始の決定を受けたこと。
(3) 当該法人が再生手続開始の決定を受けたこと。
(4) 当該法人が更生手続の開始決定を受けたこと。
(5) 当該法人が事業不振のため会社整理の状態に陥り、債権者集会等の協議決定により債務の切捨てを行ったこと。
このように、事前確定届出給与を損金にするには十分に注意が必要です。また、株主総会等で決議をした議事録についても税務調査時に確認されることが多いです。届出書が問題ないとしても議事録に事前決議した内容の記載が不十分であると損金不算入扱いになる場合がありますので注意が必要です。
役員給与等を決める際には、「会社が負担する法人税」「役員個人が負担する所得税」「双方が負担する社会保険料」のバランスを見て決めましょう。
定期同額給与等についての記事はこちらをご参照ください▼
201609_損金処理が否認され、役員賞与に認定されるとどうなる