「思い込み」の崩壊が人間の心理に与える影響の大きさ―脳の構造的支配から自らの意識を解放する―Ⅵ

さて、とうとう1マイル4分を切る記録が、イギリスのロジャー・バニスター選手によって、31年もの年月を要して打ち立てられました。

ところが、この記録が出たあと、世界中でどのような現象が起こったのか。

それは以下のようなことなのです。

 

―ところが……。

バニスターが「1マイル4分の壁」を破ったことで、それまで世界で思われていた「人類が1マイル4分を切るのは不可能である」という「思い込み」が崩壊しました。

「あれ? 実は4分切れるんだ」となったわけです。

すると、バニスターが4分の壁を破ってから1年以内に、4分の壁を破る選手がなんと23人も現れたのです。

「絶対できない」と思い込んでいたものが「いや、できるんだ!」とわかった瞬間に、何百年もできなかったことができるようになったわけです。

この話は、心理的な思い込みがあなたの人生にどのような影響を及ぼすのかを知るのに、 とてもわかりやすい例だと思います。―

 

これを読んでいて、「思い込み」の崩壊がいかに人間の心理に与える影響が大きいのか、ということが理解できる。

確かにこの現象は、スポーツの世界でより顕著に示されることが多い。

 

スポーツでは、人間の持つ潜在的な能力の開花が、「記録」という誰の目にもわかりやすい形で表現されるので、多くの人が認識することろとなるのであろう。

特に、タイムで争われる陸上競技の場合、その「分かり易さ」が極めてはっきりしているのだ。

 

この「思い込み」の崩壊によるそれまでの限界の突破は、何もスポーツの世界に限ったことではない。

このいわば一つの「メソッド」ともいうべき現象は、人間の持つほかの能力にも同じように適用されるはずである。

 

このコラムでは、最後にその「思い込み」の崩壊による人間への作用についてまとめている。

 

 

つづく