公私混同に注意しましょう ~前編~
中小企業を弱体化させる要因の一つに経営者や社員の公私混同があげられます。特に経営者による公私混同は、誰も注意できないので、自ら律する必要があります。
○「少しくらいいいだろう」と思わないこと○
中小企業の経営者には、優れた営業力や技術力を持って会社を創業した、いわゆるたたき上げタイプの人が多いようです。この不況の中、売上増や資金繰りなどのために、休日も返上して頑張っている経営者も多くおられます。
だからといって、私的な支払いを会社の経費にしてしまったり、プライベートな用事に社員を使ったり、会社のお金を自分の財布のように使っていたり、知人や同族関係の会社との取引を優遇しすぎるなどのケースはないでしょうか。
もし、「ゼロから立ち上げた自分の会社なんだから、自分の必要な支出を経費にして何が悪い」などといった考えを持っているとしたら、この際、考え直していただきたいと思います。
そのような社長の態度や行動を社員や取引先、金融機関などの第三者はどう見ているでしょうか。
○よくある公私混同の具体例○
会社にとって必要な支出なのか、私的なものなのかを判断するのは難しい面もあります。しかし、一般的に見て、次のようなことは公私混同とされます。
1.趣味のゴルフ費用や遊興費を毎回、交際費などで処理している
2.個人用の高級車を会社名義で購入している
3.休日の家族での食事代まで飲食費にしている
4.会社名義のクレジットカードを自分と家族の私的な支払いに使用している
5.家族旅行の費用を出張費にしている
6.社長の息子の結婚披露宴の費用を交際費にしている
7.社長の奥さんが「このくらい会社で払えないの!?」と、家電製品などの領収書を経理に回している
8.一人暮らしを始める社長の子どものために、社宅としてマンションを購入・賃貸している
9.役員住宅が豪華すぎる、家賃が低額である
10.勤務実態がほとんどない家族に高額の役員報酬を支給している
11.必要以上に自分や親族へ会社の資金を貸し付けている
12.同族関係者が経営する会社との取引で、条件や価格で特段の優遇をしている
13.会社の営業活動に必要ない、売り上げや利益に全く貢献しない、主として社長の趣味的なものを会社の資産として購入している
14.社員を自宅の引っ越しや火事などの私的な用事に使っている