アメリカから15年遅れている日本企業―BtoB企業の現状に学ぶマーケティング―13
マーケティングを重視する欧米企業がトップに与えている権限とは、どのようなものなのか、庭山教授は次のように述べておられます。
―欧米企業がこのようなデータの蓄積や分析・利用をいかに重視しているかは、多くの場合、その部署の責任者がCMO(最高マーケティング責任者)であることからも分かります。
そしてCMOはマーケティング関連に投資したコストと実績の費用対効果(ROMI)で評価されます。―
おそらく今は、多くの日本企業にもマーケティングの部署はあるものの、これほどの権限は与えていないのではないかと思います。
まだまだ、マーケティングの概念もその運営或いは利用方法も、日本のビジネス社会においてはまだまだ、途上国並なのでしょうか。
日本企業の実情について、庭山教授は次のように述べておられます。
―(欧米企業の)こうしたマーケティングの専門家が激しく競い合っているところに素人の居場所はなく、営業や開発部門との関係が悪くて成果を出せないといった甘えが許されるはずもありません。
日本企業では、設計の担当者が事業所の片隅にある研究開発棟に籠もり、自社の営業や顧客ともめったに会うことなく製品を開発していたりして、欧米企業との違いに驚くことがあります。―
企業内において、製造部門と営業部門が対立することがある、という話はよく聞きます。
「お前たち製造部門がいい製品をつくらないから、俺たち営業が頑張っているのに売れないんだ。」
と、営業担当が言えば
「あんたたち営業部門の力がないから、我々がいくら良い製品を作っても売れないんじゃないか。」
という、企業業績がなかなか上がらない時の責任のなすり合いです。
こういった低レベルの論争は、少なくともマーケティングをしっかりと行ない、企業内の連携がちゃんと取れていれば、起こるはずもないことになります。
日本企業のマーケティングはアメリカから15年遅れている、と庭山教授は分析していますが、追いつくためにはどのようにすればいいのかも最後にコメントされています。
つづく