マーケティングと営業とものづくりの高度な連携―BtoB企業の現状に学ぶマーケティング―Ⅻ

さて、マーケティングが極端に弱いとされる日本企業、どう考え、どう建て直せばいいのか、庭山教授は欧米企業の分析から次のように述べておられます。

 

― 数年前まではケーススタディや基調講演のテーマとして「マーケティングと営業の連携」が取り上げられることが多かったのですが、最近は「マーケティングと営業とものづくりの高度な連携」に課題が移ってきています。―

 

これはマーケティングがより複雑化し、川下に近い領域が専門分野とされていたものがかなり川上まで巻き込んでいることを示しています。

つまり、世界的に見てもマーケティングの重要性が増しているのです。

 

ここで気づかされる重要なコンセプトは「一貫性」です。

企画、生産現場から営業、販売現場まで一貫した情報の良好な流通性が求められているのです。

 

もっとわかりやすく言えば「風通し」ということになります。

その「風通し」の良さが、日本的な「飲みにケーション」といったものではなく、極めて合理化された仕組みの中で行なわれていることを求めているのです。(もちろん「飲みにケーション」そのものが悪い、と言っているわけではありませんが・・・)

 

toB企業の中に蓄積されたターゲット企業の様々なデータ、今後はこれをよりダイナミックに活かしていくことを庭山教授は提言されています。

 

―(欧米企業では)そのデータをマーケティングと営業だけでなく、研究開発などのものづくり部門とも共有して分析することで、市場の最新ニーズに対応した製品を迅速に開発・生産できるようにしているのです。―

 

このような体制がとられていれば、それぞれの部署の動きが無駄にならずに済みます。

こういった点を、マーケティングを重視している欧米企業ではガバナンス(企業統治)にどのように活かしているのでしょうか。

 

この点に関しても、欧米企業では日本のBtoB企業とは異なるポジションをそのトップに与えているのです。

ここの組織作りについて、庭山教授は日本企業との違いを指摘されています。

 

 

 

つづく