思っている以上に重要な印象を与える・・―脇役の主役、パンツの歴史を振り返る(流行の兆しはいつもズボンに・・)―Ⅲ

これまで生きてきた中で、かなりの本数、購入してきたのがパンツ(ズボン)だった、と述べてきた。

 

さて、今回のタイトルを「脇役の主役・・・」としたのは、それなりに訳がある。

パンツというのが、よく考えてみれば、結構微妙なポジションにあることを意味しているのだ。

 

着ているものの中で、通常パンツが主役という場面は考えにくい。

人が人を見るときに、普通は、ジャケットやブルゾンのように、上に羽織っているものの方に視線が向く。

 

また、普段のデスクワークや会議、ミーティングなどでも、下半身はデスクやテーブルの下に隠れて見えない。

どうしても、上着やシャツ、ネクタイなどに目が行ってしまうのだ。

 

しかし、立ち姿や歩く姿、全体が見える状況になったときに、パンツはこちらが思っている以上に重要な印象を与える。

サイズが合ってなかったり、長すぎたり短すぎたり、或いはシルエットが古臭かったりすると、ひと目で「ダサい!」という印象を与えてしまうのだ。

 

逆にパンツのサイズや丈がしっかりとその人にフィットしていると、スッキリとスマートな印象を与える。

それは、ほとんど本人も気が付かないくらいの自然さで、そう他者に思わせていることになるのだ。

 

この「気が付かないくらい・・・」というところが、パンツのいいところであり、怖いところでもあるのだ。

「脇役の主役・・・」と、私が表現した所以(ゆえん)である。

 

おそらく、こんなことはファッションのプロからすれば、当たり前のことなのかも知れないが、素人にはなかなか思いの至らない領域のような気がする。

私がそれなりに気を遣う理由もここにある。

 

座っていると、パンツはほとんど見えません。

 

つづく