統計というまやかしと期待と・・・―リアルなようでそうでもないようで・・―

 

先日、社員の一人が所長室にやってきた。

 

「所長、うちの事務所の市場占有率を出してみました。」

と、いう。

 

「市場占有率??」私もにわかにはピンとこない。

中身を聞いてみると、近隣の市町村の法人数が行政の資料からわかるので、それを分母にして、うちの事務所の顧客数を分子に市場占有率を割りだしてみた、というのだ。

 

その結果、地元の町では約10%、それ以外の市や町は軒並み一桁といった数字だったのである。

「たった10%!意外に少ないですよね。うちの事務所のお客さん。」

・・・社員と私、顔を見合わせる。

 

確かに、父の代から長くやってきてはいるが、まだ所詮10%、残りの90%は我が足元によその税理士さんが入り込んでいるのだ。

地元の税理士としてここは頑張らなくてはなるまい。

 

ところで、我々の業界はレッドオーシャンであるらしい。

確かに、今中小企業は年間に廃業する事業所が半端な数ではない、という統計が出ている。

したがって、市場の拡大は望めない、単価は下がる、やがてAIに駆逐される・・・・ちょっと考えただけで、悪い材料はいくらでも出てくる。

 

ところが一方で

「なにぃーっ!うちのシェアはたった10%!?!・・・まだまだいけるじゃん。」

という考え方もできるのだ。

 

つまり、統計というのはどちらにでも取れるということである。

楽観的にでも、悲観的にでもその人の取り方次第ということなのだ。

 

だからと言って、統計がいい加減なものだ、と言うつもりはない。

統計はあくまでも客観的な数字である。

ただそれは定量的なものであり、定性的な内容はそこから把握できないのだ。

 

統計的な数字・・・

冷静にそれと向き合いつつ、励みになる部分は大いに利用させてもらう・・・

こんなスタンスで付き合っていこうと思う。