大事なのは、広い視野と中長期的な視点のはずだが・・―地方におけるこの閉塞感はいったいどこからくるのかーⅡ
地方の意識が「成功者に続け!」という雰囲気にならないのは何故なのか、木下氏の分析はさらに続きます。
― 挑戦者を「馬鹿」と言い、成功者を「ずるい」と言う土壌
その地域から若者がいなくなり、挑戦者が去る衰退の背景には、「教育的な問題」「経済的な問題」といったものを生み出す、極めて心情的な問題が存在しています。
とりわけ「地域活性化の壁」とも言えるのは、挑戦者を支えず、成功者を引きずり降ろそうとする「妬み」とも言える人間関係がそこに存在します。―
成功者に続こうとしない人間がいるのは、まあ仕方がないと思うのですが、引きずり降ろそうというのは穏やかではありません。
いったい何故そんなことになるのでしょうか。
― さまざまな困難に挑戦する地元人材は、いい意味で「馬鹿だ」と言われるのが前提なのです。
確かに、従来からのやり方で衰退をしている地域で、新たなやり方を作り出し、挑戦するのは短期的に見れば地域内で批判され、割に合わない「馬鹿な行為」と言われれば、そのとおりです。
しかし「馬鹿な行為」と決めつける人は、極めて個人主義的な考え方で、「自分にとっての損得」でものごとを考えているのです。
短期的にはマイナスでも、中長期的、あるいは地域全体という視点に立てばプラスになる挑戦であり、挑戦者を「馬鹿」と言ってしまってはその地域には未来がないわけですが、地域の中では「あいつは馬鹿だ」と言ってしまう困った状況があります。―
ここでも極めて重要な指摘があります。
それは「個人の損得」を基準にしている点と「短期的短絡的視野」でしかない、という点です。
つまり、いろいろな発想が狭くて短いのです。
当然、地域を盛り上げていくといった事業にはこれまでにない広い視野と、中長期的な視点が大事なのですが、それに同調する地元の人間は少ないのです。
自分に直接利があり、しかもすぐにそれが実感できなければ協力しない、といったスタンスの人が多いことに驚かされます。
つづく